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[後編]必要なのは「ふたつの言語化」と「経営視点」 ブランディングデザインで求められるスキルとは

デザイナーに求められるふたつの言語化力とは

――ブランディングデザインに取り組む際に、身につけておくと良いスキルはありますか?

言語化力は必須だと思います。デザインを形にするとき、どうしてこの色を選んだのか、なぜそういったディテールにしたのかなど、考えや思いは当然ありますよね。何も考えずに作っている人はほぼいないのに、その理由を説明しない人が多いように思います。たとえばA案、B案、C案をつくり、デザイナーとしては絶対にA案だと思って提案したところ、社長がポップなものが好みだからという理由でC案を選択してしまうこともある。なぜそうなってしまうかと言えば、デザイナーが正しく説明できていないからです。

それぞれのブランドにとって最適な選択基準は必ずあるので、誘導するというわけではなく、その基準を正しく理解し適切な判断をしてもらうために導いていかなければならない。そのためにはデザイナーがデザインを言語化できていないと、その根拠や判断基準を伝えることができないですよね。

デザインはとくに自身のフィーリングやスキルに属していくものになりがちです。そこを言語化せずにたまたま成功する事例もありますし、パーツのデザインならそれでも良いかもしれませんが、ブランディングデザインのように経営をデザインしようと思ったら、みんなで「共創」することは不可欠。そう考えると、デザイナーに求められる言語化には、デザインそのものを言語化する力と、デザインを選ぶ基準を言語化するスキルのふたつがあるように思います。

その言語化力を身につけるために、まずは自分が作ったデザインの細かい部分、たとえば自分が引いた線1本に対し、なぜその1本線を引いたのかを1つひとつ説明できるようにするところから始めると良いでしょう。

その次に大切なのが、デザインがコンセプチュアルであること。デザインの背景には必ずなにかしらの考えがあるはず。デザインをフィーリングで行う人は多いと思いますが、そうした人たちは、コンセプトをしっかり定めていない傾向があるように思います。ただ、コンセプチュアルに言語化したものにさらにフィーリングをプラスすると、よりデザインがシャープになる。フィーリングを否定しているわけではなく、僕らもフィーリングでたくさんデザインをするのですが、コンセプチュアルに考えぬいた上でフィーリングをオンすると、より良くなるんですよね。たとえばウェブデザインなら理屈で決まっていくユーザビリティもたくさんあるので、まずはその理論でしっかりと設計したうえに、フィーリングを乗せるイメージでしょうか。

これがある程度トレーニングできると、コンセプトワークもフィーリングワークもほぼ同時並行で進められるようになるので、フィーリングから入り、あとから理屈の整理をすることも可能になるはず。ただトレーニングという意味では、まずは言語化を意識して行うことをオススメします。

僕が学んでいた建築という分野のデザインは、デザイナー自身が具体的なものを作るわけではありません。設計図を描いて指示は出すものの、ものをつくるのは大工さんという、デザインのなかでも特殊なジャンル。最初から自分ひとりでは完成させることができない大きなものをつくっているので、みんなを導くための設計図や、それをディレクションする能力としても言葉で伝えることが非常に強く求められるんです。

僕はとくにブランディングデザインを現場で行っていて良い案がでたときに、建築出身者に多い言い方だと思うのですが、「解けた!」という感覚があります。なぜ「解けた」と表現するのかというと、まず問題を理解してから仕事をスタートしているから。大切なのは、お客さまや上司から言われた問題をそのまま捉えるのではなく、それを上回るような問題設定にできるか、つまり課題を先にクリエーションできるかということなのです。

たとえばパッケージデザインを変えてほしいと依頼がきたときに「その前に売りかたを変える必要があるのではないか」というように問題を深掘りすることができるか。なるべく上位階層に課題を見つけにいくのです。これができれば、一歩抜きん出たも同然。お客さまへのプレゼンだけでなく、社内向けのプレゼンでも活かせると思います。

――課題を再設定するときは、どのような思考プロセスで新しい問いにたどり着いているのですか?

いちばん大切なのは、依頼者の視点に立って、本当によりよく解決するためにはどうしたら良いかを真剣に考え、課題の根っこを捉え直すこと。つまり、当事者意識です。たとえば僕がドラッグストアのブランディングを依頼されたとしたら、ロゴを考えるのではなく、ドラッグストアの経営が本当に今のままで良いのか、社長だったらどんなことをしてみるとおもしろいのかといった視点でアイディアを出していきます。そのときのポイントは、業界の当たり前を疑うことができるか。納期や予算、社内のリソース、通例のルールなど目の前の小さな制約条件をいったん取っ払って考えることができるか、ということです。

たとえばとても切れ味の良いアイディアが思いついたけれどスケジュールが間に合わないとなったら、そのスケジュールが本当にマストなのか、から考えてなければいけません。そのスケジュールが実はなんとなく決まったもので、1ヵ月遅くしても大勢に影響がないかもしれないですよね。時間をもらえれば戦略レベルでしっかりとした企画ができるのであればそちらを選択すれば良いですし、筋道を立て、決裁権を持っている人に伝えて交渉していく。ここまでがデザインの仕事だと思います。

そう考えると、やはり部門の壁は超えていかなければいけません。いち部門だけでデザインを行ってしまうと、上位の課題にはいつまで経っても辿り着かない。部門を横断したり、上層部と一緒に課題を設定できるような環境にすることが良いデザインを生み出すにはとても重要だと思います。ただ、いきなり経営から考えることが難しい場合は、デザイン部門であれば開発部門や経営企画室、広報など、隣接するような部門と一緒にやってみると良いでしょう。そうやって少しずつ関係性を広げていくだけでも、デザインができる範囲は広がっていくと思いますし、クオリティーも上がっていきます。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39586

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