OmnitureからSalesforce、そしてAmplitudeへ
──Amplitudeに入社する以前のキャリアについて教えてください。
Web解析技術などを提供するベンダー企業のOmnitureにおいて、米国と英国のコンサルティングチームを立ち上げました。2009年、Adobe SystemsがOmnitureを買収する直前にOmnitureを辞め、Salesforceに転職。マーケティングアナリティクスのシニアディレクターとしてAdobe/Omnitureを使用する側になりました。
Salesforceに在籍中、Adobeの「SiteCatalyst(現Adobe Analytics)」についてのガイド『The Adobe SiteCatalyst Handbook:An Insider's Guide』(Adobe Press)も執筆しました。
──これまではマーケターとしてキャリアを歩まれてきたわけですね。そこから一転、プロダクトアナリティクスを専門とするAmplitudeに入社されたきっかけを教えてください。
2019年秋にAmplitudeへ入社したのですが、当時のマーケティングアナリティクスを巡る環境の変化が入社の理由として挙げられます。
2000年代初頭のBtoB企業におけるマーケティング活動とは、トレードショーでビラを配る程度のものしかありませんでした。その後、広告はデジタルに移行し、有料検索やディスプレイ広告などの手法が普及。さらにWebサイトの構築が進み、マーケターが広告運用を担当するように。自社のWeb広告のパフォーマンスを把握・追跡するため、多くのマーケターがデジタル分析に投資し始めました。
つまり、マーケターの「ユーザー行動を把握したい」というニーズからWebサイトアナリティクスが誕生したのです。この流れで、マーケターはWebサイトとマーケティングアナリティクス、プロダクト担当者はアプリとプロダクトアナリティクス、という具合にテリトリーが分かれるようになりました。
サイトとアプリで異なるアナリティクスを使うのは無意味
──プロダクトアナリティクスの分野はどのようにして生まれたのでしょうか?
2007年のiPhone誕生にともなうアプリブームを背景に、プロダクトアナリティクスは生まれました。アプリブームの到来により、企業はこぞって自社アプリを開発するように。しかし、アプリはWebサイトとは構造がまったく異なるため、アプリ開発はマーケターではなくIT技術者に任せられました。
その後、ユーザーによるアプリ利用が増えたこともあり、結果として「IT技術者=プロダクト担当者」となったのです。プロダクトチームも「ユーザーがアプリをどのように使っているのか」を知りたいと思い始めたため、Amplitudeなどの企業がプロダクトアナリティクス分野を開拓したわけです。
この10年で「マーケターはAdobe、Google Analyticsを使い、プロダクト担当者はプロダクトアナリティクスを使う」というパターンが確立されました。一方で、ユーザーのオンライン行動は変化。技術や環境が整備されたことにより、Webサイトとアプリを自在に行き来しています。そのため、先進的な企業は「もはやWebサイトとアプリで別々のアナリティクスを使うことは意味をなさない」と考えるようになったのです。
私は「今後ますます、ユーザーのオンライン行動におけるアプリの比重は高まる」と考えています。トラフィックの多くはアプリに流れ、アプリがメインになってくるでしょう。既に今「AdobeとAmplitude」「Google AnalyticsとAmplitude」という組み合わせでユーザーの行動分析を行っている企業は多く、AmplitudeにOmnitureの創業時のような勢いを感じます。