チェンソーマンが「キャズム」を越えた時
では、検索ユーザー数が大きく伸びた2020年12月より前とその後で属性変化を見ていきます。
下のグラフを見ると、2020年11月までは男性比率が64%と男性比率が高かったのに対し、2020年12月以降は女性比率が徐々に高まり、直近1年間では日本のネット利用者全体の男女比と変わらないところまで女性比率が高まっています。また、年代についても2020年11月までは20代比率が高かったのに対し、2020年12月以降は30代、40代の比率が高まり、直近1年は20代、30代、40代の割合がそれぞれ同等になっています。


このデータから、まず男性や若年層が早い段階で反応し、その後人気を獲得していくにつれて女性や30代、40代など上の年代にまで関心層が広がっていったことがわかります。
そして、筆者はこれがいわゆる「キャズムを超えた」状態ではないかと推測しています。
補足:キャズム理論とは
キャズム理論とは、新たな製品が世に出た際に、その製品が市場に普及するために越える必要のある溝について説いたものです。具体的には、イノベーター理論におけるイノベーターおよびアーリーアダプターを「初期市場」、アーリーマジョリティからラガードまでを「メインストリーム市場」とし、これらの間にはキャズムと呼ばれる大きな溝(市場に製品を普及させる際に越えるべき障害)が存在している、これを乗り越えることが市場を開拓する上で重要だとする理論を指します。

チェンソーマンの場合は、2020年12月の第1部終了時に一気に話題になり、マンガ・アニメ領域におけるアーリーマジョリティ層までアプローチできた結果、キャズムを越えることができたというのが筆者の推測です。
ちなみに筆者はこのマンガ・アニメ領域においては、レイトマジョリティだという自覚があります。チェンソーマンを知ったのは最近(2022年10月)であり、第2部開始の盛り上がりのタイミングで、レイトマジョリティ層まで浸透し始めたのではないかとも推測しています。