スポーツリーグのマネジメントとパーパスの関係
サッカー、野球など多くのプロスポーツでは、個々のチームの魅力や、選手の魅力も大切ですが、リーグ自体の魅力も重要です。リーグ全体が魅力的でないと、観戦者を満足させることは難しく、ウェーバー制、昇降格制などは、戦力均衡や試合の質の向上を意図したリーグ魅力の維持・向上施策だと考えられます。こうした施策の背後に、関係者集団を束ねる明確なパーパス(存在意義)が明示されていることが重要であると考えられます。
株式会社電通の大井義洋氏の論文「日本初の女性プロ・サッカーリーグ「WEリーグ」の挑戦―パーパス経営を推進する弱い繋がりの強さによるコレクティブ・インパクト―(PDF)」は、2021年9月に開幕した「WEリーグ」のマネジメントを、インタビューや資料をもとに考察されています。大井氏は、インタビュー結果からリーグがスポーツ競技の発展と社会課題解決というパーパスを掲げることにより、クラブや協賛企業などのステークホルダーがパーパスを認識しリーグにコミットする仕組みが構築されていると主張されています。
パーパスの詳細は論文に譲りますが、女性活躍社会を牽引することや、日本に女性プロスポーツを定着させることなど、リーグや女子サッカーの枠を超えた高尚なパーパスを掲げています。リーグの成功のために、どのようなマネジメントが重要かについて、詳細が明らかにされています。
以上、ご紹介した4つの論文は、スポーツマーケティングの理解の一助となることは勿論、様々な分野におけるファンとの関係構築や組織マネジメントを考える上で重要なヒントを与えてくれます。ぜひご一読をお勧めします。