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マーケター主導で進める生成AIの組織利用

生成AIの組織利用をマーケティングのように戦略を描いて実行する方法

②戦略の策定

 現状把握の分析で分かったことは、生成AIの利用浸透には、一様な取り組みで一気呵成に進めることが有効ではないということです。これはよく考えてみれば当然のことで、職種や職位によって業務内容が変われば、求める生産性向上課題も異なってくるためです。さらに、年代やITリテラシーによって、生成AIの利用状況やニーズ(マインド)も変わってきます。

 つまり課題は、生成AIの利用ポテンシャルに応じた利用促進を進めることです。

 この課題解決のためには、最大公約数となる粒度の適切なセグメントを作り、各セグメントに適した生成AI活用を進めていくことが鍵となることが分かります。

 実際に筆者は、事業会社別、職位別、職種別、利用頻度別、生成AIリテラシー別の様々な軸で、利用実態調査の内容を分析しました。その結果、生成AIリテラシーと利用頻度でセグメントを作って進めることにしました。それが下記の図です。

戦略的セグメンテーション

 生成AIに関する利用"量"と利用"質"の掛け算でセグメントを作成することで、利用を始めてもらうべき層、利用の量を上げる層、利用を量から質に上げていく層を把握できるようになります。

 現状把握のアンケートリサーチの中で、生成AIに関するリテラシー項目を下記のように設定しました。

【プロレベル】生産性の向上などの成果が出る水準で、様々な用途で業務活用できているレベル

【習熟レベル】明確な成果創出に至っていないが、様々な用途で業務活用できているレベル

【理解レベル】業務の一部での活用だが、狙いに沿ったプロンプトを設定し、欲しい答えをアウトプットできるレベル

【利用レベル】常に欲しい答えが出せてはいないが、調べ事などの簡単な用途で積極的に活用できているレベル

【入門レベル】積極的に活用するに至らないが、試しに活用できているレベル

【未利用レベル】まだほとんど使えていない・使ったことがない

各セグメントの利用率(著者作成)
各セグメントの利用率(著者作成)

 セグメント別の分布状態と、各セグメントにおける生成AI利用ポテンシャル(生成AIの利用意向と利用意向頻度)把握によって、現段階で顕在化した利用ニーズを定量的に理解できます。つまり、「現在使っていないけれども今後使いたい」だけでなく、「月に数回の利用から毎日利用していきたい」といった頻度の上昇も把握することができます。

各セグメントのステップアップ推測(著者作成)
各セグメントのステップアップ推測(著者作成)

戦略的ターゲティングと具体施策

 現段階では、戦略セグメントを「ハイレベル×高頻度層」「ミドルレベル×中頻度層」「ローレベル低頻度層」「未利用層」に分け、それぞれのセグメントごとに提供する生成AIツールと施策を計画しています。

 セグメント運用のポイントとしては、施策粒度次第でセグメント粒度も変えられるということです。現状は細かなセグメントに分解しても有効な施策を個別に用意することはできないため、大きく4つのセグメント粒度で戦略と施策を構築しています。

 生成AIツール選定においては、投資対効果も考えて、コストと機能が異なるChatGPTチームプランや、ITベンダーが提供する廉価版の生成AIを選定しました。加えて、2024年時点ではAIチャットの利用を主軸としつつ、今後リリースが予定されている日本語版のGemini for Google Workspaceといった業務ツール×生成AIを視野に計画を立てています。

各セグメントへ提供する生成AIツール(著者作成)
各セグメントへ提供する生成AIツール(著者作成)

 生成AI利用を促進していくための施策としては、未利用層向けには、生成AI活用の意義を伝えるプレゼンテーションや活用研修、ローレベル層向けには活用事例を共有する会、ミドル層以上向けには人数を限定させた研修等を展開します。

各セグメントへ実施する施策(著者作成)
各セグメントへ実施する施策(著者作成)

 また、実施ができていないですが、生成AI活用の評価インセンティブ、AI活用コンテスト、外部のハイレベル研修等を議論しています。

次のページ
③施策の改善

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この記事の著者

石田 拓己(イシダ タクミ)

スターティアホールディングス株式会社 マーケティング部 部長
クラウドサーカス株式会社 執行役員 CSO

博報堂でマーケターとしてマス領域&デジタル領域&メディア領域に9年半従事し、40を超える幅広いクライアント案件に携わる。その後マツダのグローバルのDXプロジェクトに出向して携わった後、DMM.com の経...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/05 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40504

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