日本の広告業界全体のCPM(RPM)を上昇させていく
Microsoft Rewardsの取り組みで特筆すべきは、ポイントによってユーザー/生活者がAmazonで購入すると、CVRが上昇するということだ。もちろん、他のECサイトや家電量販店でも同様だ。CVRが上昇すると、RPM(Revenue Per Mille)も上昇するので、日本全体のCPM(Cost per Mille)も上昇しやすくなる。Search RPMとバナーなど一般的なRPMの式を、念のため、掲載しておく。

注意事項だが、この記事では、CPMとRPMをほぼ同じものとして私は扱っているが、厳密には異なる。CPM(Cost per Mille)は広告主側で主に使われる指標で、媒体社側ではRPM(Revenue per Mille)などを使う。この2つの計算式は異なるが、そのコンセプトは表裏一体である。詳細な解説はこの記事の趣旨からずれるので、また、別の機会にしたいと思う。
昨年私は、「なぜ日本のCPMは低いのか?:人口減少時代にCPMを上げるために」という記事を書いている。
今後、人口減少のトレンドが続く日本社会において、テレビなどマス広告のようにグロスの数字(GRP/Gross Rating Pointなど)を追いかけるビジネスは、じり貧になっていく可能性が高い。なぜなら、人口の総数が伸びないということは、日本経済のGDP(Gross Domestic Product)も伸びにくくなっていくからである。そして、テレビなどマス広告の出稿はGDPと正の相関が強い。また、テレビのGRPあるいは視聴率の場合、単純化して話すと、たとえば、今までに人口1,000人のうち200人が視聴していると20%だが、人口100人になっても20人が視聴していれば20%になる。人口減少社会で視聴率を維持しても視聴者数は減っていく。
そのため、マクロ経済学的に日本経済レベルでは、一人当たりのGDPなど単位当たりの数字をあげていかないと、経済成長につながらない。そして、ミクロ経済学的に単一企業のレベルでは、テレビ局などは、広告の単価をあげていくしかない(あるいは、視聴者一人当たりの売り上げなどをあげていくしかない)ということになる。もちろん、事業の多角化戦略もあるが、それは別の話だ。
この昨年の記事では、テレビ局・ラジオ局・新聞社・雑誌社なども、CPM(あるいは、RPM:つまり、広告の単価、もしくは、単位当たり収益)をあげていくしかないという趣旨のことを書いたつもりだ。そして、日本のCPM(あるいは、RPM)が欧米に比較して極端に低いという現状の課題を踏まえると、「業界全体のCPM(RPM)を上げること。そして、その利益をユーザー/生活者に還元すること」が重要だと考えている。
Microsoftの広告事業(Microsoft Advertising)の責任者として、私は、業界全体のCPM(RPM)を上げるというミッションを遂行していく。そして、日本経済に好循環を作っていく。
「業界全体のCPM(RPM)を上げること。そして、その利益をユーザー/生活者に還元すること」を実践するには、他の媒体社にもCPM(RPM)をあげていただく必要がある。なぜなら、CPM(RPM)の値下げ競争が始まると、デフレになってしまい、「失われた30年」を繰り返すだけになってしまうからだ。それでは、すべての業界関係者が不幸になってしまう。
だから、他の媒体社(GoogleやFacebook、Yahoo!だけじゃなくて、テレビ局・ラジオ局・新聞社・雑誌社も含む)のCPM(RPM)も高くなるように意識しながら、ユーザー/生活者に還元していく。それが、Microsoftのミッションを実現するために、私に課せられた使命だ。