顧客のニーズ、インサイトを捉える仕組み
――具体的には、どのように顧客の声やニーズを捉えているのでしょうか?
大きくは「1.全社横断のレポートシステム」「2.お客様アンケート」「3.CX基盤の活用」の3つの方法で、お客様のニーズを捉えています。1つ目の全社横断のレポートシステムは、お客様からいただいたご意見や現場の係員の気づきなどを拾い、社内で共有するためのものです。1年間に7万件以上のレポートが社員からあがっており、重要な課題があれば改善策を実行し評価するところまで、PDCAを回しています。
2つ目のお客様アンケートについては、目的に応じて複数のサーベイを行っています。たとえば、過去 6 ヵ月の間にANA便を利用されたお客様にANAに対する印象を聞く「CX Survey」と、直近1週間内にANA便を利用されたお客様に同じくANAに対する印象を聞く「Daily Survey」があります。CX Surveyで調査するのは、搭乗体験を今一度振り返って、お客様がANAをまた利用したいと思うかどうかです。これにはお客様とブランドとのリレーションシップを分析する目的があり、調査結果をNPSで評価しています。CX SurveyもDaily Surveyも、アンケートの設問の内容は大きく変わらないのですが、やはり回答の内容や傾向は大きく変わってきます。Daily Surveyでは利用体験について細かな意見があがってくるので、たとえば「チェックインの方法を変更してみたが、お客様の反応はどうだったか?」など、各現場でPDCAを回しやすいデータが得られます。このほかにも、便の遅延や欠航などイレギュラーに遭遇されたお客様に対する調査や、移動に関するお客様の今のマインドを伺う調査など、定常的に計5つのサーベイを回しています。
お客様の声やニーズをとらえた上で様々な課題解決を行っていくのですが、その際に有効となるのが「CX基盤」です。これまでは、お客様の各種データはそれぞれの部門システムで管理していましたが、4年前にそれらすべて統合するデータ基盤を構築しました。これにより、各部門間の情報共有やサービスの引継ぎがしやすくなり、お客様情報を活用したコミュニケーションが行いやすくなりました。多様化するお客様ニーズに対応できるようコミュニケーションのパーソナライズ化にも取り組んでいきたいと思います。