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【特集】2022年の急上昇ブランド~本質的なブランディングの核に迫る~

技術と歴史が築き上げてきた、富士フイルム「らしさ」のブランディング

写真フィルムの会社から、医療機器や医薬品、化粧品など多角的な事業を展開する企業となった富士フイルム。多角的な事業を展開しているがゆえに「どのような事業を行っている企業か」捉えにくいという課題も存在している。本記事では、富士フイルムブランドの認知・理解拡大に取り組む2名のキーパーソンに、同社のブランディングに対する考え、直近の取り組みを聞いた。

富士フイルムの歴史、ブランドの浸透が課題に

――まず、2022年を振り返って、御社の市場や業界、ブランドが置かれている環境の変化をどのように捉えていますか?

富士フイルムホールディングス株式会社 執行役員 デザイン戦略室長 ブランドマネジメント管掌
兼 富士フイルム株式会社 執行役員 デザインセンター長 堀切 和久氏

1985年富士写真フイルム(当時)に入社。デザインセンターに配属。初代チェキのデザインなどを手掛ける。2014年 デザインセンター長就任し「富士フイルムをデザインする」を掲げ、2017 年にCLAYスタジオを開設。2018年デザイナー として初めて執行役員に就任。2022年富士フイルムホールディングスにデザイン戦略室を開設し、富士フイルムグループ 全体のデザインとブランドを担う。

堀切:2022年はコロナ禍の生活様式がますます浸透してきており、ブランドの信頼に対する重要度も高まったと感じています。コロナ禍を通じて人を介さずにモノを買う、サービスを受ける体験が当たり前となり、仕事の場面でもオンライン会議が増えました。このように直接触れる・見る機会が減っているからこそ、信頼できるブランドかどうかが判断の基準になっていると思います。

 そして、富士フイルムがより信頼されるブランドになるために、会社の歴史とブランドを今以上に社内外へ浸透させたいと感じています。富士フイルムの歴史を振り返ると、元々写真フィルムを生業にしていた会社で、商品と企業ブランドが同一イメージで成り立っていました。しかし、2000年以降デジタル化が加速して写真フィルムの需要は減少していき、事業改革が必要になったのです。

 その中で、弊社は写真フィルム事業で培って進化させてきた様々な技術を活かし、多岐にわたる事業へ進出しました。その結果、写真フィルムやカメラ関連の「イメージング」のみならず、医療機器・バイオCDMO・創薬支援・化粧品などの「ヘルスケア」、半導体プロセス材料などの「マテリアルズ」、働き方革新やデジタルトランスフォーメーションを支援する商品やサービスを提供する「ビジネスイノベーション」の4つの領域で成長し続けています。

 写真関連事業の売上の割合が小さくなってきたため、「富士写真フイルム」という社名から「写真」を取りましたが、写真フィルム事業で培った技術から新しい事業が生まれていることなどから、フイルムは社名に残しています。この歴史や富士フイルムの持つ価値を社内外にブランディングを通じてもっと伝えていく必要があると感じているのが、直近の変化です。

~インターブランドジャパン代表 並木将仁氏より選定理由に関するコメント~

 富士フイルムは自社が有する根源的な機能価値を展開する形で、ビジネスポートフォリオのシフトを進め、それを強化させてきました。またその際、メディカル領域など、いずれのビジネスシフトにおいても将来価値の高い領域に入っている。これらの点がまず素晴らしいところです。そして、富士フイルムはそのブランド名と事業の実態に乖離がありますが、すべての事業活動の結果がしっかりと「富士フイルム」というブランドにたまるようになっています。ブランドアセットの整理と展開に長けており、ブランド戦略がしっかり機能している企業のお手本だと思います。

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ブランド=らしさ、売り手と買い手が理解し合う関係

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/23 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40800

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