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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】2022年の急上昇ブランド~本質的なブランディングの核に迫る~

先の見えない時代にこそ「ブランドの価値」が問われる。未来の競争力を高めるブランディングの在り方

 2022年の締めくくりとなる本号では、インターブランドジャパンの協力のもと「2022年の急上昇ブランド」を選定し各社へ取材を行った。本特集の皮切りに、同社 代表取締役社長 兼 CEOの並木将仁氏へのインタビューの内容をお届けする。毎年発表されるブランド価値ランキング「Best Japan Brands」や「顧客体験価値ランキング」など、ブランドの価値を様々な切り口で発信しているインターブランドだが、その根底には「ブランドは常に変化する事業資産である」という考えがある。先の見えない時代だからこそ、“ブランド”が持つ価値が企業の競争力に直結する。一過性の断続的なブランディングから脱却し、未来の競争力をつくる取り組みへ、日本のブランディングも次元を上げるタイミングにあるのではないだろうか。

ブランド論が試される数年を経て

――コロナ禍が終息の兆しを見せる一方で、経済や世界情勢への懸念が深まる2022年でした。ブランドを取り巻く環境は、どのように変化していると感じていますか?

 ここ2~3年は、「ブランドとは何か?」が試された年だったと思っています。ブランディングについて考えるとき、これまでは競合との差別性ありきの、企業中心のブランディングが主流でした。ブランドのパーソナリティや存在意義をロゴやビジュアルで表現し、「他社よりうちのほうが良いでしょう?」と暗に、静的に主張することがブランディングであり、そこからブランド価値がつくられると考えられてきたのです。今でもそうした一世代前のブランディングに留まっている日本企業は多いと感じています。

株式会社インターブランドジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 並木将仁氏戦略コンサルティングファームにて、企業戦略、事業戦略、ブランド・マーケティング、デジタル、M&Aなどにおけるコンサルティングを中心に、包括的に企業の成長を支援。特にオムニチャネル&デジタル時代における顧客体験の向上を通じたブランディング実現を強みとしたコンサルティングサービスを多数実施。インターブランドには2015年に参画。顧客体験をベースとしたブランド価値の向上を、ロジックとクリエイティブの融合から実現することを主眼として、クライアント支援を実践している。

株式会社インターブランドジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 並木将仁氏
戦略コンサルティングファームにて、企業戦略、事業戦略、ブランド・マーケティング、デジタル、M&Aなどにおけるコンサルティングを中心に、包括的に企業の成長を支援。特にオムニチャネル&デジタル時代における顧客体験の向上を通じたブランディング実現を強みとしたコンサルティングサービスを多数実施。インターブランドには2015年に参画。顧客体験をベースとしたブランド価値の向上を、ロジックとクリエイティブの融合から実現することを主眼として、クライアント支援を実践している。

 しかし、コロナ禍は多くの生活者にとって「自分たちはブランドに何を求めているのか?」を問い直すきっかけになりました。企業人も一人の生活者として、ブランドの存在意義を見つめ直したのではないでしょうか。そうしてブランドの位置づけや意味合いが変わったことで、企業は先述したような差別性を訴求するブランドオーナーセントリックなブランディングから、カスタマーセントリックなブランディングへシフトせざるを得なくなりました。ある意味ダウンタイムだった2020年と2021年にこの変化を受け止め、「ブランドとは何か?」「ブランドは誰のものなのか?」を見直し、行動に移せた企業の成果が表れ始めた。2022年はそんな年だったと思います。Best Japan Brands顧客体験価値(以下、CX)ランキングにも、その結果は表れています。

――CXランキング2022では、トップ3に「丸亀製麺」「星野リゾート」「ANA」と、コロナ禍で苦境を強いられた業界のブランドが上位に入っていましたね。

 ええ。CXランキングの調査では、「お客様の気持ちや求めることをよく理解している」ポジティブなブランドと、反対に「お客様の気持ちや求めることをあまり理解していない」ネガティブなブランドを純粋想起で答えていただいています。2022年はその調査の回答の中で、ブランドを選んだ理由として“企業の姿勢”を挙げる内容が多くあり、こうした傾向が見られたのはとても嬉しいことだと思っています。

 今回のMarkeZineの特集で急上昇ブランドの一つに選定した「ANA」は、前年よりCXスコアを伸ばし、7位から3位へと躍進しました。調査のフリー回答からは、ANAが生活者にとって「応援したくなるブランド」になったことがうかがえます。コロナ禍で飛行機に乗る機会がない、もしくは頻度が減ったという人たちが大半を占める中で、「私のことを1番考えてくれるブランド」にANAが純粋想起されたことは、とても大きな示唆だと思います。CXには、「Relevance/私向けのものだと思える」「Ease/私にとって意味がある」「Openness/オープンで、正直である」「Empathy/私の立場で考えてくれる」「EmotionalRewards/いい気分にさせてくれる」の5つの情緒的な要素が重要です。今回のANAの結果は、飛行機に乗るという直接的なブランド体験が更新されなくとも、過去の体験や企業姿勢を見せていくことで体験価値が持続することを示しており、非常に印象的でした。

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ブランドは企業価値を左右する無形資産である

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/19 09:30 https://markezine.jp/article/detail/40719

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