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リターゲティングに頼らず、CVRとCPAを大幅改善!楽天スクリームによる探索型AIを用いた広告配信

 日本の楽天とシンガポールのテクノロジー企業SQREEM Technologies(以下、「SQREEM社」)は2020年2月に「楽天スクリーム」を立ち上げた。楽天スクリームでは、楽天会員に基づく消費行動分析データとSQREEM社のAIを活用した行動パターン分析を掛け合わせたマーケティングソリューション「RMP - SQREEM Ads」を提供している。本記事では、楽天スクリームの代表取締役社長の吉田氏と、SQREEM社の日本支社であるSQREEM Technologies Japanの代表を務める吉岡氏に、会社設立の背景や昨今のデータ活用のトレンド、そして楽天スクリームの詳細や事例について話を聞いた。

楽天とSQREEM社が手を組んだ理由

──楽天は、楽天IDやそれに基づく消費行動分析データを活用した独自のマーケティングソリューションを提供し、広告業界において存在感を強めています。その中でなぜ楽天スクリームの設立に至ったのか、背景を教えてください。

楽天スクリーム株式会社 代表取締役社長 吉田 悠紀氏
楽天スクリーム株式会社 代表取締役社長 吉田 悠紀氏

吉田:楽天スクリームを設立した背景と目的は大きく2つあります。

 1つ目は、楽天の広告ビジネスにおいてお客様が持つ期待に応えるためです。日々、広告主様とデジタル領域の施策についていろいろとお話しする中で、SNS広告をはじめとした運用型広告の効果改善施策を求める声が多く、楽天として貢献できる領域を広げたいと考えていました。

 2つ目は、拡大するインターネット広告市場の中で、デジタル広告の課題となる「プライバシー規制の流れ」に対応するためです。MarkeZineでも特集されているように社会的に関心の高いテーマで、こちらも広告主様から対応策を求められる機会が増えていました。

 私たちが楽天スクリームを立ち上げる準備をしていた2018年当時、日本では今ほどプライバシー保護に関する注目は高まっていない状況でした。しかし、海外ではGDPR(EU一般データ保護規則)の施行をきっかけに、プライバシーに関する議論が加速しており、楽天の中でも広告に限らず、生活者のプライバシー保護にいち早く対応すべきだという議論が高まっていました。

 その中で、「生活者のプライバシーに対する配慮」と「広告の効率性」をいかに両立するかと模索している中で見つけたのが、SQREEM社でした。同社はAIを活用した行動パターン分析を強みにしており、サードパーティCookieや個人の属性情報に依存しない行動パターン分析技術とAIで事業を展開していました。そこに魅力を感じ、同社と話を進め、一緒に会社を立ち上げるに至りました。

──吉岡さんにお聞きしますが、SQREEM社の視点で見ると今回の新会社設立にはどのような狙いがあったのでしょうか。

吉岡:一番の背景にあるのは、楽天が蓄積する膨大なIDに基づく消費行動分析データと、SQREEM社のテクノロジーの相性が良いことです。

 我々は2017年に日本での活動を開始していますが、日本市場で広告ビジネスを拡大するには広告代理店やメディア、プラットフォーマーの協力は必要だと考えていました。その状況下で出会ったのが楽天さんでした。楽天さんが蓄積する消費行動分析データと、私たちのAI技術。この2つが融合すれば、素晴らしいプロダクトが生み出せると感じたのです。

SQREEM Technologies Japan Pte. Ltd. 株式会社 代表取締役社長 吉岡 ユージン氏
SQREEM Technologies Japan Pte. Ltd. 株式会社 代表取締役社長 吉岡 ユージン氏

情報を適切に活用し、ユーザーと企業双方に良い効果をもたらす

──海外ではGDPRやCCPA(カリフォルニア州の消費者プライバシー法)、日本でも改正個人情報保護法が施行されるなど、プライバシー保護に対する意識は世界的に高まっています。また、各種プラットフォーマーはデータ活用に関する規制を強めています。このデータ活用に関するトレンドをお2人はどのように捉えていますか。

吉田:プライバシー保護・データ規制のトレンドについては、「各国の法規制」や「大手プラットフォーマーの規制」と大きく2つに整理されることが多いですが、サードパーティCookie規制やITP(Intelligent Tracking Prevention)対応といった「点」の個別トピックスに加えて、「デジタル広告活動を通じた、企業と生活者の関係性はどうあるべきか」という将来を見据えた「線」で捉える変革が必要と考えています。

 生活者目線で見ると、プライバシー保護に対する意識は着実に高まっており、「自分たちのデータがどのように使われているのか」に関心を持ち、企業側の配慮を期待している状況です。

 一方、企業目線で見ると、これまではCookieやモバイル端末のIDベースで運用型広告のターゲティングを行ってきたものが、各種プラットフォーマーやブラウザで規制が強まり、これまで通りの広告効果を得ることが難しくなってきています。

 この結果、広告主様の中でも「自分たちで適切にパーミッション(同意)を取ったデータを活用しよう」「個人情報を収集・活用する以外の方法を選択しよう」という2つの考えが生まれつつあります。

 楽天ではこの2つの広告主様の期待に対応すべく、前者に関しては楽天会員に基づく消費行動分析データを、法律に従いプライバシーを保護した形で、企業様のマーケティングに活用しています。そして後者に関しては、個人情報を用いず高い効果を発揮できるソリューションをSQREEM社とともに開発しました。

吉岡:SQREEM社としては、このデータ活用に関するトレンドは追い風だと捉えています。私たちは2010年から事業を立ち上げており、長年AI技術の開発に努めてきました。年々プライバシー保護やデータ規制の流れが強まり、我々の事業に対して、市場が追いついてきたような感覚を持っています。

次のページ
自動最適化の弊害を解決する「RMP - SQREEM Ads」

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/27 11:30 https://markezine.jp/article/detail/40776

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