デジタル活用で30以上のブランドのリアルとECをつなぐ
アダストリアは、ファッションを中心として30以上のブランドを展開するアパレル大手の専門店チェーン企業だ。国内に1,300店舗以上を持ち、中国、香港、台湾など、海外でも店舗展開している。
リアル店舗を中心としながらデジタル施策にも注力しているアダストリアは、自社ECである「.st(ドットエスティ)」の会員数は1,550万人を誇っている。ファッション系ECとしては他にない大きな規模で、特に直近2年間はコロナ禍の流れから、田中氏は「EC上でデジタルコンテンツを強化してきた」と語った。
「ECサイト上でライブ配信をしたり、データを活用しながらパーソナライズを進めていたり。もちろんECでの注文からリアル店舗での取り置きなど、リアルとECの連携を進めてきたことも特徴です」(田中氏)
「EC=買うだけの場所ではない」という認識
田中氏は、自社ECサイトの捉え方について、「“EC=買うだけの場所ではない”と認識すべき」だと語った。
「デジタル化が加速し、ECは特に成長を期待されるチャネルになっています。だからこそ、多くの人は『ECで購入していただくことがいい』と考える方も多いと思います。もちろん売上や利益は重要ですが、『ECは買うだけの場所ではない』と考えていくことで会社全体のポテンシャルを上げる1つの武器になると考えています」(田中氏)
このキーワードに対して、3つの視点で田中氏は整理する。
1つ目は「見て、店舗に行く情報」。昨今ではスマホでECサイトを見てから店舗に行くことが多くなった。店舗でスマホ画面を出して「この商品ありませんか?」とスタッフへお客さまからお声掛けされることも少なくはありません。つまり、ECサイト=情報の集まる場となっている。
2つ目が「Webとリアルをつなぐデータ」だ。特に自社ECサイトであれば、会員登録から購入、その後のレビュー書き込みといった一連の流れでお客様の情報がたまってくる。そのデータを活用し、会社全体の強みに変換できる取り組みを展開することができるのだという。
3つ目が「外部を巻き込むサービス化」。これはドットエスティ独自で展開している取り組みとなる。
田中氏はこれらの3点を、ECを活用した顧客体験事例として深掘りした。