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MarkeZine Day 2022 Retail

リテールテックの現状整理で見えてきた、小売とメーカーの勝ち残る術

 2022年11月17日にオンライン開催された「MarkeZine Day 2022 Retail」では、リテール領域にテーマを絞り、現場における様々なデジタル活用事例や最新の取り組みに関する講演が行われた。本記事では同イベントの中から、リテールAI研究会の代表理事を務める田中雄策氏が、リテールテックの現状を整理し、将来の流通DXの実現に向けて小売やメーカーがどのように進化するべきかを解説した模様をお届けする。

リテールに求められる「実店舗の再定義」

 リテールテックの進化のきっかけとして代表的なのが、無人店舗のAmazon Goの誕生だ。しかし、田中氏は「それ以前からすでに流通市場の構造変化が始まっていた」と語った。その構造変化の要因もAmazonにあるという。

 「Amazonの登場により、流通は『実店舗』と『オンライン店舗』の2つに分かれるという構造変化が起きました。その後、スマートフォンの登場により、テレビや本、そして商店まで持ち歩ける時代が到来し、多くの産業構造が大きく変化したのです。そして、AmazonはAmazon GoやAmazon Freshなど実店舗の開発に動き出し、他の小売企業もこれに対抗せざるを得なくなりました。多くの小売企業はデジタル武装を行い、実店舗の意義や役割を再定義し、新しい形に変容しなくてはならなくなったのです」(田中氏)

一般社団法人リテールAI研究会 代表理事 田中 雄策氏
一般社団法人リテールAI研究会 代表理事 田中 雄策氏

 では、ネット小売で圧倒的な存在感を示していたAmazonが実店舗の進出に動いているのだろうか。

 田中氏はこれについて「ECに比べ、リアル店舗のほうが圧倒的に収集できるデータが豊富だからだ」と説明する。

 Amazonのビジネスが、小売の売上だけに限らないのは周知のとおりだ。クラウドプラットフォーム事業やデータ活用に関する事業も展開している。そして、データビジネスを展開するうえで、取得できるデータ量が圧倒的に多いリアル店舗に進出することはAmazonにとって大きな意味を持つ。

実店舗がデータの宝庫である理由

 では、なぜリアル店舗で取得できるデータ量は多いのか。まずリアル店舗とECを比べると、購入点数はリアル店舗のほうが圧倒的に多い。もちろんリアル店舗でも購入点数を抑える利用者はいるだろうが、たとえばスーパーマーケットのような業態を想定すると、リアル店舗はぶらぶら店内を歩きつつ、目に付いた商品をカートに入れていくという買い物行動が多い。

 「リアル店舗は多くの商品が目的外購入の割合が高く、『テレビで見た』『話題になっている』『おいしそう』など様々な理由で購入点数が増える傾向にあります」(田中氏)

 またECは「個人が自分のための商品を購入する」というケースが多い。これに対し、リアル店舗は個人だけでなく複数人で来店し、購入する商品も自分のためだけでなく家族や友人など、他の人のために買うものがある。リアル店舗のほうが、購入点数や購入品のバラエティに幅があり、そのぶん取得できるデータ量も多くなるのだ。さらにAIカメラなどを使うと購買時の行動までデータ化することが可能だ。

 そして、この豊富なデータを収集・分析・活用するために欠かせないのがリテールテックだ。店舗内外のあらゆるサービスをデジタル化するとデータが入手しやすくなる。そして、リテールテックを活用することで「実際にものを売っている小売業にデータが集約される」という状態を作ろうとしているのだ。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41974

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