1月12日、博報堂生活綜研(上海)は、中国伝媒大学広告学院と共同研究を行い、「生活者“動”察」の10回目となる研究成果を発表した。今年のテーマは、「次の10年、中国生活者はどこでどのように暮らそうとするのか」。
最新の人口統計では、戸籍を有している都市を離れ、戸籍を持たない別の都市で生活している非戸籍人口が3.76億人存在し、10年前より170%増加(中国国家統計局「第7回全国国勢調査」)していると明らかになった。
これまで中国国内での移住というと、内陸部から沿海部へ、農村部や地方の小都市から大都市への移住が中心だった。しかし、次の10年間に都市間での移住可能性がある生活者に今後の移住形態を尋ねたところ、これまでのような大都市一極集中傾向が薄れ、小都市に移住したい、多拠点生活を始めたいといった考え方を示す生活者がいることがわかった。
また、2030年には地方都市の生活利便性が北京、上海、広州、深圳などの1級都市並みに向上すると考え、養老施設の進化/発展により介護負荷が低減するという予測から、歴史や文化、レジャーの充実、気候や環境を重視した都市選択を考える生活者が多いことも明らかになった。
さらに生活者の変化をより詳しくするために、都市間移住を積極的に行う生活者にデプスインタビューと定量調査をした結果、以下の3つの新しいスタイルが存在すると判明した。
- 個人のキャリアや自由を重視して夫婦が別々の独立空間を求めるスタイル
- 収入が多少減っても生活コストが低い都市に移り、生活品質を高めるスタイル
- その時々の自分が求める生活リズムで暮らすために、複数の都市を転々/往復するスタイル
これまでは、大都市に移住するか地元の街に留まり、そこの環境(域)に適応する「応域生活」を送ることが一般的だった。
しかし、地方都市のインフラや利便性の向上で、より自分に合った暮らし方ができる都市への移住や、複数の都市を使い分けることが可能になった。そんな居住地域や環境(域)を、主体的に選択し運用する「運域生活」を目指す生活者がこれからは増えてくると同社は考える。
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