東京や大阪を中心に「居住地域内の消費」が増加
2020年からのコロナ禍により、消費者の買い物行動も様々な影響を受けて変容している。連載の3回目となる本記事では、「Zaim トレンド」のデータをもとに、消費者の居住地域における買い物行動の変化を紐解いていく。
はじめに、図表1は「居住地域内での買い物比率」の4ヵ年での推移を表す。2019年を基準とした場合、すべてのエリアにおいて2020年4月をピークとして居住地域内での買い物比率が上がっており、足元の2022年までその傾向は継続している。
図表2で主要な都道府県別の水準や変化を見ると、地域によって違いがあることがわかる。本州から離れている北海道・沖縄では、コロナ以前の2019年水準において居住地域内での買い物比率の水準が比較的高い(75〜80%)。コロナ以降の2020年以降もその比率は高まるが、伸び率は10%に満たない。
一方で大都市圏である東京・大阪は、コロナ以前の2019年水準において同比率は低く(35〜45%)、コロナ以降の2020年以降の伸び率は20〜30%と変化が大きい。
これらのデータから、交通網が整備されアクセスの良い都市圏であるほど、コロナ以降の行動制限による生活者の買い物行動の変化が大きかったことがうかがえる。しかし変化の大きさに違いはあれ、より生活者が住んでいる場所から近いところで買い物をするようになったことは、全国的に共通する傾向である。
では、これまで消費者が(住んでいる場所から離れた)出先でしていた買い物行動はどのように変化したのだろうか。また、コロナ前後で買い物行動の変化が大きかった生活者はどのような特徴があるのだろうか。これらの点に注目しながら、生活者視点での買い物の変化や特徴を見ていこう。
性年代・家族構成・職業による買い物エリアの違いは?
このパートでは、コロナ禍前の買い物行動別に生活者を2つのグループに分けて考察を行っていく。
住んでいる地域を中心に買い物をしている生活者=「グループ1」
住んでいる地域外での買い物が中心の生活者=「グループ2」
それでは、各グループ別の主要な属性比較を見ていこう。まずは図表3において性年代別の人数構成比を確認すると、グループ1の特徴としては女性40代以上の比率が高いことがわかる。一方でグループ2の特徴は、男性30代以下および女性20代以下の比率が高い。
次に家族構成別では、図表4を見るとグループ1はファミリーの比率が高くなっている。反対にグループ2では、一人暮らしの比率が比較的高い。
最後に職業別で見ていく。すると、グループ1で構成比が比較的高いのは主婦やパート・アルバイトとなり、グループ2で構成比が高いのは会社員や学生だ。