レジャーから読書へ買い物行動がシフト
さらに、それぞれの支出項目の中身を個別の生活者まで掘り下げると、2019年から2022年の買い物の変化の中にいくつか特徴的なものがあった。
まずは、男性30代以下で増えている「エンタメ」について、図表7のような変化が見られた。特に、レジャーから読書への買い物シフトは広く見られる特徴であり、在宅時間が増えたことをきっかけに自宅での読書が増えた様子がうかがえる。

次に、女性20代以下で増えている「交際費」について、図表8のような変化が見られた。特にプレゼントにおいて、「外出先でのお土産」から「ちょっと高い贈り物」へのシフトが多く見られた特徴であった。「外出先でのお土産」を買う機会が減り、会う機会も減った分、記念日には「自宅でも使えるちょっと高い贈り物」が多くなっていると見られる。


「居住地域の中」での買い物行動は継続
以上、生活者の居住地域を軸とした買い物行動の変化について、様々な切り口で分析・考察を行った。全体としていえることは、2020年のコロナ禍以降「居住地域の中」での買い物行動が全国的に増えており、その傾向は今もなお続いている。
さらに生活者視点で掘り下げていくと、居住地域内での買い物や消費行動の中身にも変化が見られ、家での過ごし方や人との関わり方などの変容がうかがえた。加えてその変容も一様ではなく、生活者の属性によって異なる。
したがって企業は、今後もデータを活用し客観的に生活者の消費行動とその変化を捉えるとともに、その消費実態を踏まえた価値提供やマーケティングを行っていくことが重要だといえる。