業務効率化は広告領域における急務
MarkeZine編集部(以下、MZ):初めに自己紹介をお願いします。
岩崎:電通デジタルでは、広告領域のプランナーとしてクライアント様に向き合ってきました。3年程前に異動があり、現在はワークデザイングループ、業務フローを整える部署でグループマネージャーをしています。
効率的なフローの構築によって仕事を円滑化し、現場の業務時間を削減することが我々のミッションです。
菊池:Shirofuneの菊池です。業務内容の7割はアルゴリズムなどの開発に費やし、あとはセールスやその他業務まで幅広く行っています。今回お話しする電通デジタル様社内での「Shirofune」導入については、セールスとして提案やフォローをさせていただいています。
MZ:デジタル広告の予算が増加する中、電通デジタルではどのような課題を抱えているのでしょうか。
岩崎:当社では事業規模の拡大のため、急速に増員を進めております。ただ、増員だけだと不十分で、求められる業務量に対して、限られた時間内で対応しきれない、ということが起こり得るかなと思っています。未経験の場合、どんなにポテンシャルがあっても、数か月~半年程度の育成期間が必要ですし。
また、業界の特性上、業務にスピード感が求められます。たとえば「すぐにレポートが欲しい」などのご要望にお応えする体制を用意するには、増員だけでなく、生産性向上もセットで進めないと限界があるな、という課題感があります。
MZ:スピード感と品質の両立によって、働く側の負担が増えている、ということでしょうか。
岩崎:そうですね。一方で、全社として残業時間の削減にはかなり本腰を入れています。労働時間の制限がある中で、目標数字も達成しなければならない。そうなると、必然的に業務を効率化するしかない、というのが現状です。
媒体の分散化でデジタルエージェンシーの負担が増えている
MZ:業務効率化を支援するShirifuneの立場から見て、企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。
菊池:副業化など、働き方の幅が広がったこと、広告運用の自動化が進んだことで、かつての人海戦術による広告運用が成立しなくなっています。熟練した人材の確保も難しいため、個人技に頼るのではなく、業務フローを整えたり、品質基準を設けたりと、業務を標準化しなければばらない、と考える企業が増えた印象です。
菊池:また、GoogleとFacebookの二大広告プラットフォームにだけ注力すればいいという風潮が終わり、プラットフォームの分散化が進んでいます。今後もこの流れが加速することを考えると、広告業務の運用工数は益々増え、デジタルエージェンシーの負担増が予想されます。
MZ:電通デジタルでは、2021年11月に広告運用自動化ツール「Shirofune」をテスト導入、2022年からは本格的に活用されていると伺いました。どのような狙いがあったのでしょうか?
岩崎:我々のグループでは、各案件と一つずつ向き合い、担当者の抱える課題を解決するような業務を行っています。2021年の秋頃、ある案件のメンバーから「レポート業務に大変負荷がかかっている」という課題を聞きました。
解決方法を考えているときにたまたまShirofuneさんと話す機会があり、テスト導入したのが始まりです。2~3ヵ月テスト運用した結果、現場の反応も良く手ごたえを感じたため、徐々に他案件にも波及させ、社内での横展開と本格的な導入に至りました。