副次的に得られたプランナー育成効果
岩崎:現場での反響が大きかった機能は「変化分析レポート」ですね。
最初に変化分析レポートを見たメンバーはそのアウトプットの精度にかなり驚いていましたね。「ツールでここまでのことができるようになったのか……」というような反応が印象的でした。
変化分析の意外な活用法として育成効果も得られています。経験の浅いプランナーが自身の分析と変化分析レポートを比較して、仮説の答え合わせに使用しているケースがありました。
菊池:想定していなかった副次効果ですね。元々、人が手をかける作業を軽減し、かつ品質も上げることを目標に作ったため、仮説のチェックや育成ツールとしての利用は、なるほど、という感じです。
岩崎:もう一つ、2022年の9月頃から使い始めた機能として「自動入札機能」が挙げられます。まだ実績は少ないですが、広告運用のパフォーマンスを落とすことなく45%ほどの業務削減を実現できています。
菊池:自動入札機能は、予算管理と入札が一体化した機能です。
たとえば、今月1,000万円の予算で成果を最大化する場合、毎日の予算のバランスを自動で調整したり、より成果の高い媒体に切り替えたり、自動で最適化しながら運用していきます。最終的にその月が終わったタイミングで予算を使い切り、クライアントが伸ばしたい指標を最大化するのが基本的な機能です。
ただし、クライアントの要望には二種類あります。一定額の予算で最大の成果を取って欲しいパターンと、決められた成果の範囲、たとえばCPA10,000円を超えなければいくらでも使っていいし、超えるなら使わないで欲しい、というパターンです。
当初、後者のパターンでは手動で少し調整が必要、という要望があったため、現在は設定した成果の通りに調整しながら運用できるような機能も追加しています。
これによって、GoogleAnalyticsやその他独自の計測指標に対して、CPAやROASに上限を設けて自動運用することも可能になっており、他の方法では自動化できない業務が自動化できるようになっています。
岩崎:管理画面での予算管理に時間がかかりがちな案件、予算変更が多かったり、入札調整の作業が頻繁にあったりする案件とは、特に相性がいいですね。
広告業界のベーシックインフラを目指す
MZ:今後の展望についてお聞かせください。
岩崎: クライアント支援を考える上で、今後、機械に任せられる部分はどんどん自動化すべきである、というのが大前提です。自動化を進められるツールは積極的に使っていきたいなと。その一つの例がShirofuneの活用だと思っています。
菊池:どんどん新しい機能を作り、その活用法を一緒に探っていきたいなと考えています。新しい機能について必ずしも私が開発に関わっているわけではありませんが、一つはもうすぐβ版としての提供を予定している、入稿系の機能です。
クリエィティブやキーワードの構成を変えるのは、現時点では皆さんがそれぞれの媒体で行っていると思いますが、Shirofuneが総合管理することで編集作業を簡略化し、今までタッチできていなかった部分の工数を削減していけたらいいなと。
もう一つは、クリエィティブのPDCAです。ターゲティングや配信の調整などは、AIによる自動化がかなり進みまして、広告の運用者は次の段階としてクリエィティブのPDCAをどう回していくかに注力していると思います。現時点ではクリエィティブに関して提供できているベネフィットが少ないため、拡充していく予定です。
最終的に、ベーシックな業務についてはすべてShirofuneが提供でき、広告業のインフラとしてさらに多くの日々の業務で活用いただけるようにしたいと思っています。業務負担の軽減を当たり前にした上で、電通デジタル様や他代理店様のオリジナリティを載せていただくような世界観を目指したいですね。