横浜F・マリノス事例に学ぶ、社員・サポーターの両方が喜ぶ企画の秘訣
平地:では、ここから各クラブでの具体的なスポンサーアクティベーションについてうかがいます。まず、横浜F・マリノスでの取り組みについて教えてください。

金井:横浜F・マリノスでは、冠試合の開催とYouTubeコンテンツ「教えて!マネフォ先生」などを実施しました。
冠試合では、横浜F・マリノスも大事にしているサポーターとの共創を意識しています。
たとえば、2021年にはサポーターとクラブの共創プロジェクトである「横浜F・マリノス 沸騰プロジェクト」とコラボレーションし、サポーター・クラブ社員・マネーフォワード社員でオンラインミーティングを行いました。その中では、「マリノスファミリーみんなでもっと前へ」という冠試合のコンセプトが生まれました。
また「みんなでつくる応援広告」と題し、サポーターの皆さんと社員の応援メッセージを集めて企業ロゴとクラブのエンブレムにし、優勝がかかったクラブの後押しをする交通広告を横浜駅に出稿しました。サポーターの方からも「こんなに楽しみにしていた冠試合は初めて」などと好評いただけました。


平地:私は、スポンサーになるメリットは認知度の向上だけでなく、ファンやサポーターのエンゲージメント向上もあると思っています。横浜F・マリノスとマネーフォワードのように、サポーターと共創するのは理想的なスポンサーアクティベーションの形だと思いますし、交通広告も素晴らしい取り組みだと思います。
もう一つの施策である「教えて!マネフォ先生」はお金に関するコンテンツで、御社のサービスに近い内容ではあると思いますが、サービスの利用促進にはつながりましたか。
石戸:マネーフォワードが家計簿アプリ「マネーフォワード ME」を提供しているというサービス理解度の向上に大きくつながっていると思います。動画を見てすぐダウンロードや利用につなげるというよりは、「教えて!マネフォ先生」では「節約したい」「貯金したい」などお金に関する課題が出てきたときにすぐ想起してもらえることを狙っています。
とはいえ、スポンサーアクティベーションの効果、そして『マネーフォワード ME』で行っているF・マリノスポイントとの連携もあり、スポンサーシップ契約以降で横浜F・マリノスサポーターだと定義できるユーザー数が3.5倍まで増えており、手にとっていただけて大変嬉しく思っています。
また、冠試合を通じて横浜F・マリノスサポーターのマネーフォワードの認知度も上がっており、スポンサーシップを始める前は50%ほどでしたが、2021年12月にSNSとクラブ公式メルマガで行ったアンケートでは、サポーターの回答者のうち約95%がマネーフォワードを認知しているという結果が出ました。
好意度に関しても、日々コミュニケーションをとっているTwitter利用者のサポーターのうち、85%がマネーフォワードのことを「好き」と回答するという結果が出ており、認知度向上とブランディングともに大きな効果を実感できています。

金井:また、スポンサーアクティベーションを通じてマネーフォワードの企業姿勢が伝わり、興味を持って実際に入社してくれるメンバーも増えてきました。スポンサーをきっかけに入社したメンバーが半期MVPを受賞するなど、活躍してくれていて嬉しく思っています。採用にまで良い影響が及ぶとは私たちも想定外でした。
スポンサーが自ら企画を持ち込むことも重要
平地:ここまで横浜F・マリノスとの取り組みを聞いてきましたが、残りの2クラブについても教えてください。アビスパ福岡とはどのような取り組みを?
石戸:アビスパ福岡とは、JSAAで審査員特別賞(クラブ賞)を受賞している「オフィシャルDXパートナー」に参画してセミナーを開催するなど、地元企業のDX推進とバックオフィスSaaS『マネーフォワード クラウド』のサービス導入につなげています。
また、『マネーフォワード クラウド』の認知を高めるために「アビスパ妄想会社員!?」というキャンペーンを実施しました。この企画では、『マネーフォワード クラウド』の会計、勤怠、経費、給与と、サービスがリンクした質問をサポーターにさせていただきました。

キャンペーン参加者にはサイン入りグッズがもらえることもあり、Twitter拡散されてアビスパ福岡と実施したキャンペーンの中では過去一の拡散効果を得られました。単純に製品の認知を取りに行くだけでは伝わらないので、クラブや選手を上手く絡めながら、サポーターを巻き込んでいきました。
平地:スポンサーアクティベーションをスポンサー側から自主的に提案していくことは、効果を高める上で重要だと思います。