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MarkeZine Day 2025 Retail

グローバルの風向き、トレンドを知る。海外カンファレンスレポート

困難を突破するには、効率の追求だけでなく「人に寄り添うリテール・エクスペリエンス」が重要

「寄り添い要素」を持つレジ端末

 NCR社のレジ端末は様々な機能が一体型になっていた。商品を置くだけで前方のスキャナーが瞬時に全商品を読み込む。商品が重なっていると、モニター上にわかりやすく「重ならないように置いてください」と案内が出る。

 決済方法の目玉は手のひら決済だ。手のひら決済は手でタッチせずとも、かざすだけで決済できるというもの。認識しづらいのでは? 誰の手でも読み取ってしまうのでは? と懸念したが、実際に試すと認識は素早く、別の人の手をかざすと(事前に手のひら登録が必要)「登録されていません」と表示された。

レジ全体像(左)商品を置いたときの様子(中央)決済方法選択の画面(右)(筆者撮影)
レジ全体像(左)商品を置いたときの様子(中央)決済方法選択の画面(右)(筆者撮影)

 機能面も興味深いが、スクリーン上の案内も直感的で簡単さが演出されている。「Matching(認識しています)」、手が遠い場合は「Too far(遠すぎます)」、読み取ったあとのチェックなどわかりやすく案内が出て、全体的に初めての人にも寄り添った直感的で気持ちの良い体験であった。

手をかざすとスクリーン上にわかりやすく案内が出る(左)完了画面(右)(筆者撮影)
手をかざすとスクリーン上にわかりやすく案内が出る(左)完了画面(右)(筆者撮影)

 こういった「寄り添い要素」も人間的要素の1つだと考えられる。

手触りと連動するスクリーン

 Unity社のプロトタイプも興味深いものであった。下の写真のようにスクリーン上にはブランドのバッグが映し出されている。手前には留具と革の材質の一部があり、それらに触れるとスクリーンが連動しバッグや留具の色が変わる。デジタルの技術を駆使しながらもリアルの質感に触れられ、エモーショナルな余韻を残した体験であった。

下部の素材に触れるとスクリーン上で映し出されるバッグの色や留具が変わる(筆者撮影)
下部の素材に触れるとスクリーン上で映し出されるバッグの色や留具が変わる(筆者撮影)

圧倒的なリアリティをともなったサイネージ

 解像度の高さによりリアリティを持った展示も目立った。英HYPERVSN社の”Hologram Human”の展示では、人物大のサイズ感と高解像度の技術により実際に人がそこにいるかのような感覚を覚えた。

ホログラムを作り出すファンが高速で回転しているため写真を通すとノイズが写る。実際は解像度がとても高い(筆者撮影)
ホログラムを作り出すファンが高速で回転しているため写真を通すとノイズが写る。実際は解像度がとても高い(筆者撮影)

 別のブースでは「デジタルマネキン」が人々を惹きつけていたが、奥行きもさることながらかなりリアルである。ファッションの例で展示されていたが、数秒ごとに服が変わり、360度リアルのマネキンを見ているような感覚がある。

別の場所に撮影場所があり、そこで人をスキャンして取り込むことができるようだ。(筆者撮影)
別の場所に撮影場所があり、そこで人をスキャンして取り込むことができるようだ。(筆者撮影)

 これらの展示はテクノロジーそのものに人間的要素を持たせた例ではあるが、テクノロジーの進化にともなってどこに人間的要素を担わせるかは引き続き重要なファクターとなりそうだ。

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リアル店舗への再注目―統合エクスペリエンスの一層の強化

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この記事の著者

西 湧太(ニシ ユウタ)

 電通デジタル CXトランスフォーメーション部門 CXUXデザイン事業部 リテールエクスペリエンスグループ兼グローバルビジネス部門CXグループ

 電通デジタル入社後、小売・金融・製薬・通信などの幅広い業界の国内クライアントおよびグローバルクライアントにてUXデザインに必要な、リサーチ(定量/インタビュー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/27 11:48 https://markezine.jp/article/detail/41234

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