2023年に社名を変更したレゾナック
MarkeZine編集部(以下、MZ):皆様の自己紹介をお願いします。
藤田(レゾナック):レゾナックでCMO組織を統括している藤田です。当社は2023年1月、昭和電工と昭和電工マテリアルズが経営統合し生まれた機能性材料メーカーです。
藤田(レゾナック):CMO組織は事業部門とは別に存在していますが、当社でマーケティング活動を行っているのはCMO組織の人間だけではありません。半導体・電子材料を扱う部門や自動車部材を扱う部門など、それぞれにマーケティングチームが存在します。そして、CMO組織のミッションは部門の枠を超えて会社全体のマーケティング活動を強化していくことです。
竹内(レゾナック):私はCMO組織内のコーポレートマーケティング部で、MAツールを活用したデジタルマーケティングの全社グローバル展開を推進しています。
角田(レゾナック):デジタルマーケティングチームでチームリーダーを務める角田(すみだ)です。私たちのチームでは、新規売上につながるリードを獲得して営業に渡す、いわゆるナーチャリングを行っています。最終的なKGIは、年間で2桁億円の潜在需要を発掘することです。
友部(日本オラクル):私は、日本オラクルで「Eloqua」をはじめとするMAツールの営業を担当しています。私にとって最初のお客様は、昭和電工の前身である日立化成様でした。当時から竹内様とはお付き合いがあり、現在のレゾナックに至るまで支援させていただいております。
網羅的で営業活動にも貢献するデジタルマーケティングへ
MZ:レゾナックでは2023年1月、新社名のもと新たなスタートを切られたとのことで、改めて貴社においてマーケティングの意義とは何でしょうか。
藤田(レゾナック):当社におけるマーケティング活動を別の表現に言い換えると「課題解決型提案活動」です。今、世の中には様々な社会課題が存在しています。たとえば電気自動車。市場ニーズは高まる一方、技術的な課題は今なお残ります。この課題解決に尽力していらっしゃる企業様が今どういう悩みを持たれているかを分析し、当社の素材や機能の提案につなげる──これこそが当社におけるマーケティング活動の意義です。
MZ:マーケットインの発想で価値提供することを目的にマーケティングを行っていらっしゃるのですね。またレゾナックでは、2015年からデジタルマーケティングにも注力してこられたとうかがいました。その背景を教えてください。
竹内(レゾナック):日立化成時代、私はフィールドマーケティングを担当していたのですが「新規案件を開拓してもクロージングまで行き着かない」などの課題を感じていました。お客様により効率的にアプローチできる手法はないものかと模索していたところ、新製品をWebサイトで紹介することを思い付いたのです。それがデジタルマーケティング推進のきっかけでした。
藤田(レゾナック):デジタルマーケティングの最大の強みは「網羅的」かつ「効率的」であることです。足で稼ぐ方法もありますが、デジタルプラットフォームを導入し、有効に活用できれば、展示会やイベントなどを通じて集めた名刺を一元管理できますし、メルマガを通じて業界全体に我々の情報を周知することもできます。
MZ:デジタルマーケティング推進の一環で、2016年に日本オラクルのEloquaを導入されたとうかがいました。MAツールを導入することになった理由と、Eloquaを選んだ決め手を教えてください。
竹内(レゾナック):最初は草の根的に、Webサイト上で商品を紹介していましたが、私も当時の上司もデジタルプラットフォームの必要性を感じるようになりました。「Webサイト上で紹介するのみならず、営業工程全体を効率化しなければ」という思いがMAツール導入の背景にありました。
数あるMAツールの中でもEloquaを選んだ理由は、当時からグローバルでのデジタルマーケティング推進を意識していた点にあります。日立化成の頃から、海外の売上比率は5割を超えていたため、国内外を問わずグローバルに使えること、そして自社の規模感に合っていることがMAツールの選定条件でした。Eloquaはそうした条件にマッチしていたため、導入を決めました。
国内外の顧客情報を適正に管理!Eloquaの豊富な機能
MZ:Eloquaの特徴について教えてください。
友部(日本オラクル):Eloquaは、マーケティングオートメーションを最初に取り組み始めていく段階から、施策を深掘りしたり活用組織を広げたりしていく段階まで、一貫して利用できる点に大きな特徴があります。そのため、レゾナック様のように企業規模が年々拡大していて、その成長にともないマーケティングの目的や用途が増えた場合でも、Eloquaなら対応することが可能です。
友部(日本オラクル):多くのクライアント様が抱えがちな課題として、顧客管理が挙げられます。特にレゾナック様のような企業規模の場合、顧客情報の管理を複数の部署で同時に行っているケースが多いです。そのため、MAツールのマスタ管理者は「他部署に対してどこまで顧客情報を開示すれば良いのか」と悩まれています。Eloquaでは、顧客情報の閲覧範囲を限定したり、メール配信時のオプトイン管理を細かく設定できたりします。
さらに、グローバルに拠点があれば「欧米における顧客情報の管理をどうするべきか」と試行錯誤する場面も出てくるはずです。昨今、欧州のGDPRをはじめ、企業が個人データを正しく管理する必要性はこれまで以上に高まっています。顧客情報の適正管理という点でも、Eloquaはグローバルに事業を展開している企業様のニーズに応え得る仕様なのです。
また、ダッシュボードの操作性や見やすさにもこだわっています。操作するにあたってハイレベルな知識は不要。システム開発者以外の運用も容易です。マーケティングシナリオの流れを樹形図型で見たり、ドラッグ&ドロップだけで新たなキャンペーン施策を展開したりすることもできます。
アポの獲得数は日々純増!データへの意識が高まった
MZ:デジタルマーケティングの推進やEloquaの導入によって、レゾナックではどのような成果が得られたのでしょうか。
角田(レゾナック):デジタルマーケティング施策のひとつとして、商材ごとにメルマガを配信しているのですが、地道な施策の積み重ねによって売上拡大につながるアポの獲得数は日々純増しています。
角田(レゾナック):当社の営業担当者がそれまでお会いすることのなかった企業様と接点を持てている点も、Eloqua導入がもたらした大きなメリットだと感じています。展示会でお会いしたお客様とのやり取りをEloquaに登録しておけば、その後何かの機会でウェビナーを案内することもできます。Eloquaによって「成果につながる機会」を最大化できていると感じますね。
竹内(レゾナック):デジタルマーケティングチームのウィークリーミーティングに参加すると、チーム内のデータへの向き合い方に変化が見られます。たとえば「Eloquaのオプトイン管理機能を使って、メールの配信先を細かくセグメンテーションすると、開封率がこれだけ上昇した」など、施策の成果をきちんと検証する意識が高まりました。以前は「とりあえずメールを送ってみよう」とアクションに終始していた印象でしたが、今では細かな数字を見ながら戦略を考えるカルチャーが醸成されつつあります。
ポイントは社内の「受益者」に傾聴する姿勢
MZ:レゾナックでは日本のCMO組織が中心となって、欧米などの海外市場向けにもデジタルマーケティング施策を展開しているそうですね。グループ全体でデジタルマーケティングに注力できる秘訣はどこにあると思いますか。
竹内(レゾナック):デジタルマーケティングチームのメンバーが「主役は我々ではない」と認識している点ではないでしょうか。主役はあくまで開発部署や、お客様と商談する営業のメンバーです。彼らの困りごとをしっかりと把握して支援する姿勢が大事だと思います。私は、デジタルマーケティングチームの活動にメリットを感じてくれているメンバーのことを「受益者」と呼んでいます。受益者の声に傾聴する姿勢が、海外拠点にも草の根的に波及していったのではないでしょうか。
竹内(レゾナック):受益者の声を直接ヒアリングする取り組みのひとつに、他部署の人たちと一緒に実施する「プランニングミーティング」があります。このミーティングで、我々が具体的な数値目標を営業や開発担当者から聞き出し、「これならメルマガが必要ですね」「Web広告を打ちましょう」などの具体策を導き出します。その数値目標や具体策をテンプレート化したプランニングシートで文字化しマーケティングキャンペーンを実行します。こういった受益者の声に傾聴する姿勢がデジタルマーケティングチームの「型」として根付いているわけです。
友部(日本オラクル):レゾナック様が海外市場でもデジタルマーケティング施策を展開できているのは、有言実行で取り組まれているからだと私は思います。6年前のEloqua導入前後はメールの配信数をKPIに据えていらっしゃいましたが、目標を着実に達成し、今では「売上への貢献度2桁億円」というKGIを据えていらっしゃいます。
友部(日本オラクル):加えて、社内の従業員に対して目標を徹底的に周知していること。そして何より、実施した結果が定量的に芳しくなくとも、それを失敗とせず「やらないことこそが失敗である」という文化を育んでこられたところに成功要因があると感じます。
各部署とシームレスに連携し新会社の知名度を上げる
MZ:最後に、皆様の今後の展望をお聞かせください。
藤田(レゾナック):冒頭お伝えした通り、自動車の電動化を実現させるためには技術的な課題が数多く存在しています。我々はそうした課題と事業の接点を自ら見つけ出せる組織でありたいと思っています。そのためにも、社内のCTO(最高技術責任者)組織や事業部R&D組織とは今後一層連携を強めて、世界の技術革新に貢献していきたいです。
竹内(レゾナック):今回レゾナックに社名変更したことで、これから国内外で社名や事業内容の認知を拡大させていかなければなりません。引き続きデジタルマーケティングを通じて顧客を創出し、グループの売上に貢献していきたいです。
角田(レゾナック):今は各部署の担当者が社名の認知度を上げるために、イベント登壇や広告出稿など打ち手を考えています。ただ、施策をバラバラに展開するのはもったいないため、各部署の施策がシームレスにつながり、成果につながるよう環境を整えていきたいです。
MZ:友部さんからは、Eloquaの導入を検討している企業に向けて、メッセージをお願いします。
友部(日本オラクル):今後、より多くの企業が「ただモノを売るだけの事業」から脱却し、レゾナック様のように課題解決型のソリューション提供へとビジネストランスフォーメーションを図るはずです。今まさにそのようなチャレンジを行っている企業様にこそ、ぜひEloquaを活用いただきたいと考えています。