※本記事は、2023年2月25日刊行の雑誌『MarkeZine』86号に掲載したものです。
メディア接触とSNS利用率
日本国内ではインターネット利用率はここ10年ほど80%前後で推移している(*1)。データトラフィックは右肩上がりを続けており、2022年5月のブロードバンド契約者の総ダウンロードトラフィックは推定で月間約26.0Tbps。2017年5月の約8.0Tbps、2018年5月の約10.0Tbpsと比べると激増していることがわかる(*2)。
メディア接触時間(1日あたり・週平均)は2022年に445.5分(*3)。2021年の450.9分から微減しているものの、10年の推移で見ると約1.3倍である。特に、2022年には初めて「携帯電話/スマートフォン」の接触時間(146.9分)が「テレビ」の接触時間(143.6分)を超えた。性・年代別に見ると、10代~40代の男女で「パソコン」「携帯電話/スマートフォン」「タブレット端末」の合計接触時間が過半数を占める。
SNSの利用率は2021年に78.7%に達し、前年より4.9%上昇した。特に60代、70代の高齢層において10%以上も上昇している。SNSの利用目的は、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」が88.6%、「知りたいことについて情報を探すため」が63.7%となっている。「自分の情報や作品の発表のため」は10.1%と、身近な人とのコミュニケーションと情報収集に利用目的が集中している。
各サービスの利用率を見ると、LINEの利用率が81.6%となり、Twitterの41.6%、Instagramの35.6%が続いた(*4)。2019年と比較すると、2022年にFacebookが33%に減少したのを除き、いずれのサービスも利用率が増加している。特にTikTokは2020年の3.9%から2022年には8.5%へと増加した。LINEについてはどの年代でも約70%~約90%となり、70代では2021年から6.1%も増加して69.0%に。国民全体のサービスインフラとなりつつある。
Z世代は男女で検索行動に違い
Z世代の消費者動向としては、やはりソーシャルメディアの活用が挙げられる。「ソーシャルメディアに積極的に投稿をしている」と回答したZ世代は37%で、ミレニアル世代(18%)の約2倍だ(*5)。また、「テレビを視聴しながら、スマートフォンで利用するコンテンツ」としても「ソーシャルメディア」と答えたミレニアル世代は45%の一方で、Z世代は68%にのぼる。
Z世代は新しい情報と接するのもSNSの比重が大きい。「あなたは新しいブランドや商品をどこで知りますか」という質問に対して「Instagram」が全体で51.0%、「Twitter」が48.5%、「動画配信サービス」が45.0%、「TV番組、CM」が43.0%と続いている(*6)。また、「Instagram」の利用率は男性が33.0%なのに対し、女性は69.0%とInstagram重視であることがうかがえる。
SNSで出会ったブランドを知るためにZ世代も検索を活用するが、トップは「検索エンジンで検索(Google等)」の43.3%となっている。「Instagramで検索」は31.5%、「Twitterで検索」は29.3%とSNSも多用されている。ここでも女性だけを見ると「Instagramで検索」は43.5%で、「検索エンジンで検索(Google等)」の41.5%を上回っている。
シニア世代もスマホとLINEを利用
シニア世代の消費者動向では、インターネット利用率の増加が注目に値する。2019年の時点で60代は90.5%、70代は74.2%、80代は57.5%となっている(*7)。利用している端末は、60代は「パソコンでのネット利用」が46.0%に対し、「スマホでのネット利用」は52.2%である。70代ではパソコンが27.4%、スマホが23.7%とパソコンのほうが上回るが、パソコンの利用率はほぼ横ばいに対してスマホの利用率はこの数年で急増している(いずれも2019年時点)。
SNSの利用率は、60代においてLINEが76.4%、Twitterが26.2%、Facebookが23.9%、Instagramが20.6%、TikTokが4.1%である。70代では順に69.0%、14.8%、19.9%、11.5%、1.3%となっており、LINE以外の利用率が他の年代に比べて低いが、毎年少しずつ増加している。
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