午後の紅茶など、既存ブランドにも注力
成清氏は、午後の紅茶や生茶などのマーケティング戦略も発表した。午後の紅茶の売上は2022年に「おいしい無糖」シリーズがけん引し、ブランド合計で前年比103%を達成した。また、スリランカ紅茶農園に対する支援などが評価され、2022年11月に日経SDGs戦略・経済価値賞を受賞した。

2023年は、心の豊かさ・心の健康を提供するものとして「紅茶そのものの価値」の訴求を図る。これにより、午後の紅茶ブランドのみならず、紅茶カテゴリー全体の市場拡大を狙っていくという。
一方の生茶は、ここ数年ブランドの販売箱数が減少傾向にあったが、2022年は前年比102%と回復。減少の理由について成清氏は「店頭で消費者の目に触れられにくい状態にあったり、生茶本来の革新的なイメージが消費者の中で薄れていたりした」と分析。課題を踏まえて2022年には生茶のパッケージなどをリニューアル。その結果、今回の回復につながった。2023年は、生茶の「品質」「革新性」をより多くの消費者に知ってもらうため、味覚とパッケージデザインをリニューアルしたものを今春、発売予定だという。

嗜好性の付加価値提供も目指す
発表会終了後、質疑応答の時間が設けられた。「おいしい免疫ケアは『健康』を前面に訴求する商品だが、嗜好性による付加価値提供の可能性はあるのか」という質問に対し、吉村氏は「嗜好性、つまり『おいしい/おいしくない』の判断は個々人の主観によるところが大きい」と前置きした上で、次のように回答する。
「人は誰しも、疲れたときに甘いものあるいは酸っぱいものをほしいと思います。そうしたタイミングをタッチポイントと捉え『疲れたときこそおいしい免疫ケアを飲んでみませんか』とご提案する。それが、嗜好性の付加価値提供にもつながると考えます」(吉村氏)

続いて販売目標に関する質問が挙がった。プラズマ乳酸菌入り飲料の2022年販売目標は760万ケースだったのに対し、2023年は1,000万ケース超の販売目標を打ち立てた。その理由を問う質問だ。
「2022年のiMUSE朝の免疫ケアの販売数は、おそらく目標値を少々下回る結果に着地します。とはいえ、当社としては狙った通りに市場を拡大できたと自負しています。一方で課題として残ったのが当社の説明不足です。『プラズマ乳酸菌が健康維持にどのような効果をもたらすのか』の説明が足りておらず、プラズマ乳酸菌の認知率の低さやトライアルいただく方の数の少なさにつながっています。そこで2022年秋以降は、テレビなどを通じたコミュニケーション施策を重点的に展開しました。年末にかけて認知は着実に獲得できていると感じます。これらの背景を踏まえて、プラズマ乳酸菌入り飲料の販売目標を1,000万ケース超に設定しました」(吉村氏)
2023年はヘルスサイエンス領域を一層強化し、消費者の健康習慣定着を目指すというキリンビバレッジ。マーケティング施策も含めて、同社の動向には今後も注目したい。