公開インタビューやテストマーケティングの場にも活用
企業の「若者の声を直接聴く機会が欲しい」というニーズも相まって「今回のCreator Collaboration Spaceには大きな意義がある」と長田氏は強調。SHIBUYA109 lab.はビジネス向けマーケティングプランにおいて、リサーチやデータ分析の分野で企業を支援することになる。具体的には、どのようなサポートを行うのか。
長田氏によると、SHIBUYA109 lab.が既に開始している取り組みをCreator Collaboration Spaceの場にも展開していくそうだ。たとえば、SDGsに関心の高いZ世代の学生と行っている活動「SHIBUYA109 lab. EYEZ」。これは、サステナブルな体験ができるワークショップの開催などを通じ、若者のSDGsアクションの喚起を狙ったものだ。この活動報告を、ビジネス向けマーケティングプランの中で行うという。

「そのほかにも、毎月200人を対象に実施しているヒアリング調査を公開インタビューの形にするなど、アイデアはたくさんあります。また、企業が新商品のサンプルをCreator Collaboration Spaceで配布できるようにするなど、若者との接点創出だけでなく、マーケティングアプローチができるところまで支援していきたいです」(長田氏)
アサギ東京氏とたけたろう氏によるトークセッション
メディア向け説明会の後半には、ARクリエイターのアサギ東京氏と、美容系クリエイターのたけたろう氏が登壇。Creator Collaboration Spaceがクリエイターにもたらす恩恵について、意見を交わす。

まずアサギ東京氏は、Creator Collaboration Spaceがオンラインではなくリアルな空間であることのメリットを指摘する。
「何か調べものをするときに『まずはインターネットで検索してみる』というアクションが一般的だと思います。しかし、ネット検索はあくまで“1から100”の調べものに限って有効な手段です。まったく未知のものを検索だけで理解するのは難しい。オフラインスペースであれば、その分野のプロフェッショナルにすぐ質問できたり、隣に座っている友人と助け合ったりできますよね」(アサギ東京氏)
次にたけたろう氏は、Creator Collaboration Spaceが提供する企業とのビジネスマッチングの可能性について次のように語る。
「様々な美容ブランドのプロモーションに参加する中で、クリエイターが自分の個性を前面に押し出してメッセージングしたほうがコンテンツは視聴され、商品も売れると実感しています」(たけたろう氏)
一方で、ブランド側がクリエイターにコンテンツを通じて伝えてもらいたいメッセージや世界観はある。「仮にクリエイターと企業で考え方に相違があっても、双方にとってWin-Winな案を直接話し合える場として、Creator Collaboration Spaceはうまく機能するのではないか」とのことだ。
「クリエイターと企業の懸け橋に」そうした期待感を込めて開設されたCreator Collaboration Space。この場所が日本のクリエイターエコノミーと企業のマーケティングにどのような変化をもたらすのか。今後も注目したい。