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「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

電通が発見した「11の欲望」とは。感覚や推理に頼らず、確度と汎用性を持って消費者の心を動かすヒント

ニーズと欲望の違い

 欲望は、持ち主によって必ずしも意識されているわけではありません。多くの場合、ニーズの形になって初めて知覚されます。ニーズが地表に噴出する溶岩だとすれば、欲望は地中に眠るマグマと例えることができます。

 では、地中に眠る欲望をどのようにして明らかにするか?

 人の根源的な意識へと潜るためには、まず「欲望が生まれるメカニズム」を明らかにする必要がありました

欲望が生まれるメカニズム「欲望行動モデル」の解明

  「欲望」は、固定化されることなく、時代や環境によって絶えず揺れ動きながら、その姿を変え続けます。一方で、私たち人間は、元来、誰もが基本的な「欲求」を有しています。

 心理学用語としての「欲求」は「欲望」とは別の概念です。

 心理学で言う「欲求」は、マズロー(※1)をはじめとする先人たちが発見・定義したもので、人間が本来的に持つ肉体的・精神的な「求め」であり、時代や個人によらない共通普遍のものです。変動的な「欲望」と明確に区別するため、この不変かつ普遍的な欲求を「根源的欲求」と呼ぶことにしましょう

 根源的欲求は、人の性格や生きてきた時代、その過程で育まれた価値観などによって形成される個々人固有の特質と出合うことで、ある性向は強まりを見せ、別の性向は弱まりを見せます。また、他の性向と組み合わさるなどの影響から、無数の複雑な欲望が生成されるものと考えられます。

 この個々人固有の特質は、根源的欲求に対していわば“フィルター”の役割を果たすものです。私たちは、これを「価値観基盤」と名付けました。

 すなわち、個々人が持つ「価値観基盤」という変数と「根源的欲求」を掛け合わせることで、「欲望」が形を成していくというメカニズムを見出したのです

 こうして生成された欲望に基づき生じた具体的なニーズ、そこから起こした行動は、経験として個人の「価値観基盤」に影響を及ぼすことが想定されます。そこで、絶えず「価値観」が変化し、また「欲望」も変化していくというループが生まれると考えられます。

 この考え方をモデル化することにより、これまで事象から推測する以外に特定の手段がなかった「欲望」を、定量的に捉えることが可能になります。その結果、次に発生するであろうニーズや行動を、従来よりも確固たる根拠をもって予測できるようになると考えています。

次のページ
マズロー×シュワルツの理論を掛け合わせた「欲求オクタグラム」

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この記事の著者

高見 憲(タカミ ケン)

株式会社電通 CXプランニングセンター エンゲージメントデザイン1部長 チーフ・コミュニケーション・ディレクター 電通デザイアデザインメンバー

プランナー、ディレクターとして各種キャンペーン企画、新商品開発、およびそのローンチ/ブランディングを多数手がける。現在はCX領域を起点とした統合プランニングに重点的に取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2023/09/06 12:18 https://markezine.jp/article/detail/41806

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