※本記事は、2023年4月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)88号に掲載したものです。
コミュニケーション業界における人材の価値
──WPPジャパンでは2022年に松下恭子氏がCEOに就任後、傘下企業の横のつながりを強めるなど新たな取り組みを進めていますね。その中で、落合さんのご担当領域は何ですか?
これまではWPPグループの各カンパニーが単体で事業を展開している状態でしたが、WPPジャパンCEOに松下が就任してから、日本のグループ全体で変化を起こしています。たとえば、各社の力を掛け合わせてより横断的に事業を行う体制を整えようと、いくつかのカウンシル(以下、委員会)をグループ横断で設立しました。クライアントについて考える委員会やデータについての委員会などがあり、該当分野におけるプロフェッショナルが各社から集まって議論を重ねています。
その中で私は人材育成に関する委員会の統括を任され、現在は各社の人事部のヘッドたちと週1回ミーティングを行い、WPP全体の人事に関するテーマを見つけ、議論し対策を練っています。
私自身は長く営業職に身を置き、いわゆる人事部に所属したことはありません。ただ、広告・コミュニケーション業界全体においては「人間」が重要。そこを理解してビジネスをしてきたことは間違いありません。我々は具体的なプロダクトを売っているわけではなく、優秀なタレントを集めて素晴らしい提案を作っていくのが仕事です。いかに優秀な人材を採用育成していくかが、どの部署でも注力ポイントなので、現在の担当に違和感はないですね。
──人材育成の委員会はどのようなミッションを担っているのでしょう?
クリエイティビティを通して世界をより良い形に変革させていくことがWPPグループのパーパスです。そしてこれを「人材」「クライアント」「環境」「社会」の4つの分野に分けて考えています。その中でも私は人材の部分に変革を起こすべくリードしています。
WPPグループのネットワークは世界最大級です。私たちはその巨大なネットワークを活用し、集まってきた知見を組み合わせ、クライアントに最善のソリューションを提案しています。そのクオリティをさらに高めるためには、グループ内の会社が越境して互いの知見をうまく活用することが大切です。ですから、ボーダレスネットワークを有効活用できる人材を育成することが、WPP全体における目標です。