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【特集】次の10年をつくる、組織と人材

顧客理解と顧客価値に強い人材を育てよ グロースX山口氏に聞く、強固なマーケティング組織を作る方法

 「強固なマーケティング組織には、顧客理解と顧客価値に強い人材がいる」と語るのは、グロースXの取締役COOとインサイトフォースの取締役を務め、『マーケティング思考 業績を伸ばし続けるチームが本当にやっていること』(翔泳社)の著者でもある山口義宏氏。本記事では、強固なマーケティング組織を作るために必要なこと、そして顧客理解と顧客価値に強い人材を育てる、自らがそのような人材になるためのポイントについて聞いた。

変化の激しい現代で必要なのは、顧客理解と顧客価値

──成果を出せるマーケティング組織を作る際のポイントを教えてください。

山口 義宏(やまぐち・よしひろ)

株式会社グロースX 取締役COO/インサイトフォース株式会社 取締役

 メーカーで戦略コンサルティング、コンサルティング会社でブランドコンサルティングのデリバリー統括等を経て、2010年にインサイトフォースを設立。BtoC/BtoB問わず、100社以上の企業のブランド~マーケティング/組織開発支援など戦略コンサルティングに従事。2022年6月にグロースX 取締役COOに就任。著書に『マーケティングの仕事と年収のリアル』『デジタル時代の基礎知識 ブランディング』『マーケティング思考 業績を伸ばし続けるチームが本当にやっていること』など。

 成果を出せるマーケティング組織を作るには、大きく3つのポイントがあります。1つ目は、良い商品・サービスへと育てるために、部門や担当の役割を越えて顧客視点のフィードバックを行い、商品・サービスや顧客体験の改善を素早く実行し続けることです。

 2つ目は、組織メンバーの時間が社内での調整・合意形成ではなく、顧客に向き合う施策の生産と実行に多く割かれていること。どんなに優秀なメンバーがいても、社内向けの時間が多ければ成果は出せません。施策を素早く柔軟に手数を出すことができるチームを作るには、社内でマーケティングの会話や判断に関わる共通言語が必要で、KPIなど数字の良し悪しの相場観も共有されていることが重要です。

 3つ目は、顧客理解と顧客価値の発見を永続的に追求する組織です。事業を成長させるために必要となるマーケティングの施策の力点は、日々激しく変化していきます。

 そのため、1つひとつの施策の実行ノウハウを学び続けることも重要ですが、事業会社の中の人だけでキャッチアップするのにも限界があり、外部の広告代理店や業務委託のプロなどを併用して施策をうまく実行することも大切です。

 そして、何より重要なのは、施策の企画と判断のコアとなる顧客理解、顧客価値への深い洞察と合意形成です。どれほど優れた商品・サービスでも、実際にお金を支払って買う顧客像と顧客が選ぶ理由となる価値を見誤ってメッセージを発信していては、施策の成果は出ません。

マーケティング施策のプロ=顧客理解×顧客価値のプロとは限らない

──顧客の理解と顧客価値の創出に長けた組織を作るには、何が必要なのでしょうか。

 顧客の理解と顧客価値の創出は、できれば社内のことをよく知る人物が行うべきですし、内製化すべきです。というのも社内の人が顧客と商品に一番長く触れており、知っているはずですし、「外部委託や新規で採用するマーケティング施策の実行ノウハウに長けた人材=顧客の理解・顧客価値の創出に長けた人材」とは限らないためです。

 もちろん施策のプロでも、顧客理解と顧客価値の組み合わせを発見・開発し続けられる人は存在しますが、割合としては多くはない。それに長けた人材を社内に引き入れるのは採用の難易度も高くなりがちです。

 顧客理解と顧客価値の組み合わせ開発に長けた人材を内製化し、施策に関しては部分的に外部の力も借りつつ取り組むことで、成果が出なくなってきた局面でも、「既存の顧客層に、同じ価値を、異なるクリエイティブ表現の施策」で伝えるだけでなく、「新たに定義した顧客層に、違う価値を訴求する施策の試行錯誤」によって、また新しい成果が生まれることが沢山あります。

 基本的に、今成果が出ているマーケティング施策も、いずれ効果は低減していきます。そうなる前に、次の新しい道筋を発見して開発する力が大切です。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/21 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42007

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