メイン情報源は家族やテレビ
では、どのような環境から食全般や「食品ロス」に対する情報を得ているのか、メディア周りについても確認する。図4に示す通り、信頼する情報源としては「家族」や「テレビの番組」、「ニュースサイト」、「メーカーサイト・ブランドサイト」「友人・知人」といった項目が高い。
NHKをはじめ、民放各局でもSDGsが特集されることがあるため、「食品ロス」も含めて起点となったのはテレビ番組の影響が大きそうである。また、「家族」や「友人・知人」といった身近な人から情報を得ることが多いからか、価値観としても「自分の人脈を表現すると、「浅く広い」よりも「狭く深い」のほうが近い」や「良いと思ったものは、思わず他人にも勧めたくなってしまう」、「初対面の人にはあまり自分のことを話したいとは思わない」といった項目が高い。
その他にも「情報に踊らされるのはうんざりしている」、「自分が気に入ればブランド評価は気にしない」、「他人が知らなくても自分が良いと思うものを選びたい」といった価値観も高く、広告や不特定多数の口コミよりも、できるだけ自分で情報収集を行う人たちであると考えられる。これは「【インターネット】ニュースサイト」や「【インターネット】メーカー・ブランドサイト」など、信頼する情報源の上位の項目に影響していると考えられる。
より具体的に普段利用している情報サイト、アプリを確認してみると、チラシ情報などが掲載されている「シュフー(Shufoo)」や「トクバイ」、ニュース系では「NHKニュース・防災」や「日本経済新聞」、化粧品の総合情報サイトである「@cosme」などが上位であり、信頼する情報源と主婦層であることの両方が影響していると考えられる。また、普段利用しているグルメ・料理・旅行アプリを見てみると「ホットペッパーグルメ」以外はすべてレシピサイト/アプリであった。やはりこれも主婦層であることが影響していると考えられるが、それぞれのアプリで食品ロス対策のレシピ公開やキャンペーンなどが行われており、より親和性が高まったことが想定される。

うかがえる様々な分野への意識の高さ
さらに「食品ロス意識/行動者」に関して分析していくと、食以外に対しても意識が高いという特徴を発見した。図5は「食品ロス意識/行動者」と「SDGs意識/行動者全体」のうち、「わからない/あてはまるものがない」と回答した人を除いた、各目標に影響された人の割合である。【つくる責任、つかう責任】は「食品ロス意識/行動者」が100%になるため除くと、【海の豊かさを守ろう】や【陸の豊かさも守ろう】、【エネルギーをみんなに、そしてクリーンに】といった環境問題周りが「SDGs意識/行動者全体」に比べてより高くなっていることがわかる。

図6は、食以外の興味関心として高かった旅行についてまとめている。詳細を見ていくと、お気に入りの国内旅行先の上位が、「海洋博公園 沖縄美ら海水族館」、「鴨川シ―ワールド」、「ハウステンボス」となっていた。水族館の高さは【海の豊かさを守ろう】と関連性があると考えられるほか、ハウステンボスも花を代表とした自然と町の調和がコンセプトのテーマパークであることから親和性が高いのではないかと考えられる。
実際価値観としても、「環境問題への関心を強く持っている」や「社会貢献をしたいと思っている」などが「SDGs意識/行動者全体」と比較すると高く出ている。その他にも「誰も見ていなくても、まじめに働くことが自分を成長させると思う」といった働き方に対する姿勢や、「目標や計画に対し、きちんと対処・遂行しないと気が済まないほうだ」という性格に関わる価値観なども高く、「食品ロス」問題だけを考えているというよりも、多様な問題や事象に対して意識の高い層だと考えられる。

今後の「食品ロス」対策のカギは若年層
本調査ではブランドデータバンクを用いて「食品ロス」を意識・行動している人の特性を明らかにした。基本属性として特徴的なのは、女性専業主婦層であり、そもそも食全般に対する関心やこだわりが高いと考えられる点だ。また、食品ロスやSDGsの情報源は、親しい人やテレビ番組、レシピサイトやアプリといった日常生活で得られるものの他に、水族館やテーマパークといった旅行先なども該当すると考えられる。
食品ロス以外に対しても環境問題に関心、具体的に行動しようとしている人たちであり、今後も「食品ロス」やその他の環境問題に対しても、普段の生活の中でできる範囲を取り組んでいくことは間違いないだろう。そのため、家庭系食品ロスの目標達成のために重要となるのは、現在「食品ロス」問題にリーチできていない層であり、SDGsは意識していても「食品ロス」は意識していない会社員や、若年層全般へのアプローチが重要になっていくと考えられる。
【ブランドデータバンク調査概要】
・調査方法:インターネット調査(マクロミルリサーチパネル)
・調査期間:第36期調査:2023年1月20日 ~ 2023年2月2日
・調査タイトル:「生活に関するアンケート」
・調査対象:全国15~69歳の男女
・総サンプル数:第36期調査:n=29,713
・詳細サイト:https://www.branddatabank.com/
【分析対象・比較対象の定義】
「SDGs意識/行動者全体」の定義:ブランドデータバンク第36期調査回答者のうち「SDGsの認知・関与度」の設問で、「「SDGs」の内容については知っており、自分自身も行動しなければと感じている(がしていない)」もしくは「「SDGs」の内容については知っており、自分自身も実際に意識した行動をしている」と回答した人(n=8,683)
「食品ロス意識/行動者」の定義:ブランドデータバンク第36期調査回答者のうち「影響を受けているSDGs17の目標」の設問で、「【つくる責任 つかう責任】食糧の廃棄を半減させ食品ロスを減少させる。持続可能な消費と生産のパターンを確保する」と回答した人(n=3,259)