LINE公式アカウントが持つCRMへの可能性
――まず、ADK-SPerの共同開発にいたった背景、市場の変化について教えてください。
久保田:現在、市場には多くの商品が送り出されており、自社商品を差別化する難易度が上昇しています。当然、新規顧客の獲得も難しくなっています。その中で、重要視され始めているのが、既存顧客を育成し、アップセルやリピートへとつなげることです。
従来、既存顧客向けの接点としてはメールマガジンやDMが一般的でしたが、最近では生活者の接触時間が長いSNSにコミュニケーション接点を置く企業も出てきています。
成瀬:ユニークビジョンではSNSマーケティングを支援してきましたが、久保田さんのおっしゃっている変化を同じように感じています。というのも、SNSで認知拡大を目的としたキャンペーンを仕掛ける一方、クライアント企業から「キャンペーン後も顧客との関係を築きたい」「直接購買につながる施策を実施したい」という要望をいただくことが増えています。
その中で、顧客と関係構築できる施策・販促に繋がる施策を実施する手法として挙がったのがLINE公式アカウントの活用でした。これまで販促キャンペーンであれば、実施のたびに特設のLP(ランディングページ)の制作が必要でした。しかし、LINE公式アカウントを用いれば、日常のコミュニケーションツールとして定着しているLINEでキャンペーンを実施でき、その後の継続的なコミュニケーションも行うことができます。
久保田:LINE公式アカウントはCRMに活用できるポテンシャルが高いと思います。LINEは基本的に一対一のコミュニケーションで、デバイスを乗り換えてもIDベースで情報が引き継ぎできるので。
ただ、LINEをCRMに活用できているのはごく少数というのが現状です。特に運用面には課題があります。たとえば、新商品が発売された場合。一斉配信でメッセージを送るといったマス的なコミュニケーションをしてしまうと読まれず、最悪の場合ブロックされてしまう可能性もあります。
そうしたケースを防ぐためには、基本的に1人1アカウント持っているLINEの特徴を活かして、顧客にメリットを提供しつつ、データを集めパーソナライズさせていくことが大切です。
市場のニーズに応えたい ADK-SPerの背景
――両社ともにLINEをCRMに活用することに可能性を感じていたとのことですが、なぜ共同開発にいたったのでしょうか。
久保田:ADK MSでは、見込み客の獲得からファンの育成まで、顧客資本を拡大する循環を生み出すCustomer Equity Management(顧客資本マネジメント、以下CEM)を提唱しています。LINE公式アカウントでも同様に、新規獲得からその後のファン化まで、CEMファネルのすべてをサポートしていきたいと考えていました。
ユニークビジョン様は、TwitterとLINEの認定パートナー(「Twitter Marketing Partners(Ads API Partners)」、LINE Biz Partner Program 「Technology Partner(販促・OMO部門)」)であり、SNSを活用した販促キャンペーンツールを提供しています。ADK MSの持つ運用ノウハウとユニークビジョン様のツールを組み合わせることで、一気通貫のソリューションが提供できると思い、今回共同開発にいたりました。
成瀬:我々はツールベンダーとして、開発やツール活用のノウハウはあります。一方で、運用や企画に関するノウハウは、広告会社などのほうが持っていると感じておりました。LINEでキャンペーンを実施することになると、その後のアカウント運用やデータ活用というのは課題としてあがってきます。そのため、LINE公式アカウントの運用実績を持つADK MS様と連携することで、顧客との関係性を築きながらデータを蓄積し、得られたデータを活かしたコミュニケーションを実現したいと思い、ADK-SPerの開発を進めました。