3時間生配信で「全力回答」 情報発信を起点に共創する
水田:独自性の面でいえば、Pocochaはライバーとして収入を得るようになるまでのハードルも非常に低いです。

水田:こうしたデータを見るとライバーとしての時間以外で芸能活動をしている人が多いと想像されるかもしれませんが、実際の回答では10%程度でした。その他のライバーが回答している本業では、専業主婦(主夫)が8%、学生が8%、会社員が14%、パート・アルバイトが14%といったデータがあり、多様なライバーが活躍していることもわかります。
こうした背景から、Pocochaを始めて1~2ヵ月でアルバイトを辞めたり、副業として配信を始めたものの「どちらが“主”でどちらが“副”か」と悩んだりという現象も多くのライバーに起きているようです。
ファン作りの鍵となった「全力の情報発信」「レベルの定義」
MZ:情報発信においてはどのようなことに取り組んでいますか。
水田:私たちは情報発信に大変力を入れており、Zoom、YouTube、Twitter、note、アプリ内での告知も含めて10種類の場所で行っています。具体的には、サービスの新機能や施策の進捗・改善点についてユーザーにお伝えする「ポコフォーラム」や、3時間のライブ配信を通じてユーザーから寄せられたご質問に私自身が休まずお答えする「水田Pが全力回答!〜Pococha QA LIVE〜」などを行っています。

Pocochaが複数の媒体を横断して行う、コミュニティ施策の一覧
水田:時には厳しいご指摘もあり、特にYouTube LiveやZoomのような場での配信だとすぐに回答ができないこともあります。その場合にも「仰る通りです、次回までに答えを考えてまいります」とお答えし、実際に検討を踏まえて回答するようにしています。また、配信の様子は注目度の高い部分を運営側で切り出してYouTubeにアップし、より多くの方に見てもらえるようにもしています。
このように、ユーザーへの情報開示を徹底しているんです。
なお、Pocochaのコミュニティチームではこれら施策をデータドリブンで行うため、ユーザーのサービスに対する熱量を表す指標として「パフォーマンスサイクル」を細かく定義しており、ピラミッドの形で全体像を表現しています。より多くのユーザーに高い熱量でPocochaに関わっていただけるようにすることが重要なミッションです。

Pocochaのパフォーマンスサイクル
MZ:運営側からの情報開示の機会では、ユーザーからどのような反応が寄せられていますか。
水田:実際に運営の改善や事業推進のヒントになるような声を多くいただいています。
たとえば、過去の「全力回答!」の生配信では、DeNAの決算を見たユーザーから「Pocochaの利益はどこに還元してくれるのか」という質問をいただき、私たち企業側とユーザーの関係性が大きく前進する転機を得ることができました。
当時、質問への回答としては「事業の方針として採用を強化して、開発力を上げることでユーザーの利益に還元したい」とお伝えしました。すると、次から「採用はうまくいっているのか」とご質問いただくようになったんですね。
そこで採用活動の進捗と合わせて、競合との知名度の違いといったPocochaが抱えていた課題をお伝えしたところ、ライバーの方が「自分の配信に採用候補者を連れてきてもらえれば、Pocochaの良さを話すから」と協力を申し出てくれたんです。現在ではこれをヒントに制度化し、採用プロセスにライバーとの面談を組み込んでいます。
これはまさに、ユーザーが先述の「パフォーマンス」「規範化」のレベルとなっている好事例だと思います。

ライバー起点で始まった採用候補者のプロダクト体験会