令和の食は平成と比べてどう変化したのか?
この5月から、「令和」が節目となる5年目に突入しました。当初は新鮮に感じていた「令和」という語感にも慣れ、逆に「平成」という響きに若干の懐かしさを感じるようになってきた人も多いのではないでしょうか。それにともない、私たち自身の価値観や行動もじりじりと変化を続けてきているはずです。
今回は、私たちの生活基盤の一つである「食」に焦点を当て、令和の食は平成の頃と比べてどのような変化があったのかを探ってみたいと思います。私たちの意識が変われば食も変化します。逆に言うと、食の変化を把握することにより、生活者の行動変化やその背景にある意識を推察することもできます。この先、私たちがどのように食と向き合っていくことになりそうかを、少し考えてみたいと思います。
なお本稿のデータソースとしては、インテージ・キッチンダイアリー(主家事担当女性を対象にした2人以上世帯の食卓実態を捕捉するパネル調査)を使用しています。また、本稿中では「平成最後の4年間」と「令和最初の4年間」の比較を行っています。令和元年は2019年5月から始まっていますが、本稿ではわかりやすさのために4月起算で集計を行っており、「平成最後の4年間」を2015年4月~2019年3月、「令和最初の4年間」を2019年4月~2023年3月としています。
「おうちランチ」「おうち夕食」は増加、「おうち朝食」は横ばい
まずは平成と令和で、家での朝食、昼食、夕食の「場」の増減を見てみたいと思います。図1に、各食シーンの内食率(家で食事をとった世帯の割合)を示しました。平成と比べて、令和では昼食と夕食の内食率が大きくアップしていることがわかります。これは、2020年から始まったコロナ禍による外出自粛や在宅ワークの増加、子供たちの休校、外食店の営業自粛などの影響が大きいものと考えられます。
食に限った話ではありませんが、「家ナカ消費」といったワードが注目されたことも記憶に新しいのではないでしょうか。ちなみにここには示していませんが、コロナ禍が一段落ついた現在でも、依然として昼食、夕食の内食率はコロナ禍以前よりも若干高めの傾向が続いています。昼食、夕食の「内食化」は、一定の定着が見られたと言えそうです。
このように、令和がスタートしてから1年経たないうちにコロナ禍が始まっていることから、「令和最初の4年間」はどうしてもコロナ禍の影響を無視できません(日本でコロナ禍が本格化したのは2020年3月頃)。
ところが朝食はどうでしょうか。昼食、夕食とは異なり、平成から令和にかけて朝食内食率に大きな増減はなく、不思議なほど一定の割合をキープしています。朝食の内食率は元々高いレベルであるため、これ以上増える余地が少ないということも一因ではあります。
とはいえ、ここまで動きが少ないのは少し意外な印象です。「元々朝食をとる習慣がない人(世帯)は、コロナ禍で家にいたからといって急に朝食を家で食べるようになるわけではない」ということになるのでしょうか。
では、朝食の中身にいたるまで平成から令和にかけて何も変わらなかったのかというと、そういうわけでもないようです。次の章で、朝食のメニューの変化を見てみたいと思います。