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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今

生活者の心を動かすメディアプランニングとは? 資生堂「みんな、いい顔してる。」キャンペーンの事例

中~高価格帯ブランドの売上増に寄与

──キャンペーンは既に終了しているのでしょうか。

 6月末でオウンドを除く媒体系の大きな露出は終了しました。とは言え、様々な人の「いい顔」を美の力で引き出すことは、このキャンペーンに限らず当社の生業でもありますから、キャンペーンの終了と同時にその活動を止めるわけではありません。

 キャンペーンをきっかけに前向きなムードを醸成した後は、通常の事業活動を通して引き続き自分らしい「いい顔」を見つけるための提案をしていくつもりです。

──現時点で把握している成果や反響を教えてください。

 コロナ禍で化粧品のセルフ購買や低価格化の傾向が見られたものの、中~高価格帯にあたるカウンセリングブランドの売上合計が前年比2桁以上成長しました。生活者の心が動き、ワクワクしていただける体験が提供できた手ごたえも感じています。

 最初にTwitterでメッセージを出した際は賛否様々な反応が見られましたが、ムービーを通してより広く人の目に触れてからはポジティブな反応が増えました。わざわざお電話で「商品の情報はほとんど出てこないのに、こういうメッセージを発信してくれてうれしい」と涙ながらにおっしゃるお客様もいて。「資生堂らしいメッセージを出してくれたおかげで、化粧品を売ることの意義を感じた」という得意先様からの声もあり、当初の目的であった社会的な認識変容が達成できたと思います。

成功の秘訣は深いメディア理解にあり

──最後に今後の展望と、読者に向けたメッセージをお願いします。

 「メディアプランニングの前にパーセプションプランニング」という基本姿勢は今後も不変です。その先に最適なメディアを置けるかどうかは、マーケターの知識にかかっていると思います。私もユーザーとしてあらゆるメディアを使いながら日々研究しているところです。広告代理店に委ねるだけではなく、なるべく自分で使ってメディアの特性や利用者の気持ちを把握するようメンバーにも伝えています。ベンダーさんから直接話を聞いて得られる知識もあるため、積極的にお会いする機会をつくることも大切です。

 最近は「デジタルマーケティング」という呼称をよく聞くようになったものの、その言葉の意味するところは「マーケティングの4Pのうちプロモーションやプレイスでデジタルを使うこと」です。デジタルは言わずもがな便利なツールであり、24時間人々の生活の一部に組み込まれているくらい重要な接点でもありますが、これからは“ヒューマニティ”が人の心を動かすメディアプランニングにおいても鍵になると思います。対象が人間である限り、ターゲティングやパーソナライズはやり方に要注意です。デジタル・リアルを問わず、サービスそれ自体や情報の接点でヒューマニティを感じさせられるブランドがこれからは勝っていくと思います。

──素敵なお話を聞かせていただきありがとうございました!

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/11 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42635

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