SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今

生活者の心を動かすメディアプランニングとは? 資生堂「みんな、いい顔してる。」キャンペーンの事例

 広告の出し先が分散し、複雑性を増すメディアプランニング。マーケターは各メディアが広告面として有するパワーをどう評価し、いかに組み合わせていけば良いのでしょうか。資生堂は2023年4月より、美の力を通じて生活者の背中を押すために「みんな、いい顔してる。」キャンペーンをスタートしました。WebやテレビCM、OOHのほか、店頭も絡めた立体的なコミュニケーションを展開した同社に、メディアプランニングの戦略をうかがいます。

手段先行のメディアプランニングはしない

──最初に、貴社のメディアプランニング戦略の方針をうかがえますか。

 当社ではマーケティングを「生活者の認識変容を促し、ブランドを創り、増幅させる活動」と捉えています。「人の気持ちを動かす活動」と言い換えることもできるでしょう。生活者が情報を得る手段が変化し、メディアが多様化してもその大前提は変わりません。

資生堂ジャパン マーケティングリレーション本部長 北原規稚子氏
資生堂ジャパン マーケティングリレーション本部長 北原規稚子氏
資生堂で「TSUBAKI」「ELIXIR」「MAQuillAGE」などのブランドマーケティングを歴任。2021年から副CMO、2023年より現職。同グループの資生堂インタラクティブビューティーと連携しながらメディアプランニングのプロセス設計や教育も担当する。

 メディアプランニングにおいては、手段の目的化に陥らないよう気を配っています。当社ではパーセプション・フロー・モデルを軸としたメディアプランニングツールを活用し、プランニングの際は人の認識変容を先に考えてから、認識を動かすための“知覚刺激”を次に考え、最後に接点としてのメディアを選定しているのです。「あの新しい媒体にトライしよう」「このメディアを強化しよう」という手段先行の考え方はしません。

 人は四六時中そのブランドや商品のことを考えているわけではないため、「忙しい生活の中でいかに頭の中に入れてもらうか」「人の気持ちがどう動けばスムーズに購買へと至るのか」を重視しています。

──パーセプション・フロー・モデルに則り、消費者の行動・認知・知覚を理解した上で適切なメディアを選定していくわけですね。

 もちろん、メディア選定の際には媒体ごとの特性も考慮します。たとえばテキスト中心のTwitterは、理性的に選ばれることが多いスキンケアアイテムの中身や効果を信用してもらう第三者コンテクストとして非常に有効です。一方、ルージュなどのポイントメイクアイテムを衝動的に「かわいい」「欲しい」と思ってもらいたい場合は、Instagramのフィードやリールを通じたビジュアルでの訴求が効果的と言えます。

ラーメンの海苔も立派なメディア!?

 メディア選定時には「認知拡大はテレビやデジタル広告」「理解促進はSNSや口コミサイト」といった固定概念を外し、生活者の心が動くモーメントを起点に考える姿勢が大切です。たとえば「湯気や油で肌のベタつきが気になる」というモーメントを的確に捉え、人の心を動かすことができるのであれば、ラーメンの海苔も立派なメディアと言えますよね。

──直近のプランニング事例として、4月3日よりスタートした「みんな、いい顔してる。」キャンペーンを紹介いただきたいです。そもそもこのキャンペーンはどのような経緯で企画されたのでしょうか。

 マスク着用義務の解除や新型コロナウイルス感染症の5類への移行などが発表され、社会が少しずつ新しい日常に向かおうとする兆しが見え始めました。しかしながら、三年間の様々な制約で身についた習慣や気分を即座に変えることは難しいものです。

 社会の様子が変わるタイミングで、化粧の本来的な喜びや人と会う楽しさ、自分に自信を持つことでにじみ出る自分らしい「いい顔」を大事にしたいと考えました。美の力を通じて日本中がいい顔で溢れるように生活者の背中を後押しし、反応してくださる方々と一緒になって新しい社会のムードをつくりたい。そんな社会的な意義を源流にスタートしたのが「みんな、いい顔してる。」キャンペーンです。

──社会の空気を変える/ムードをつくる狙いがあったのですね。

この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!MarkeZineプレミアム

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
先にテキスト中心の媒体で展開した意図

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
【特集】明快な方程式がなくなった、メディアプランニングの今連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/07/11 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42635

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング