相談からサービスインまで2ヵ月弱、スピードの秘訣とは
MZ: SELFBOT導入を決めてから活用までの流れもうかがえますか?
岡崎:当初はECサイトのカスタマーサポート領域での活用を考え、2023年4月中旬に打ち合わせをして、ゴールデンウィーク明けにはデモ環境が完成しました。その段階で本番環境とほとんど変わらない状態だったので、若干の調整を加えて、6月6日には公開しました。対応を進める中でオウンドメディアでも活用できそうだと確信して、4月下旬には両サイトへの導入を決めていました。
MZ:相談から実装まで非常にスピーディーですね。
中路:SELFBOTはChatGPT(LLM:大規模言語モデル)の機能を最大限に活用する前提で組み上げました。チャットボットを展開されている他社様は、既存で組み上げてきた仕組や管理画面などとの兼ね合いがあるため、ChatGPTを連携しようとするとシステム全体を再構築する時間がかかります。一方、SELFBOTはChatGPTの拡張性を想定したうえでゼロベースから組み上げたシステムなので、スピーディーな対応が可能です。
回答の精度は80%以上、相談の質も向上
MZ:導入による効果や反響はいかがですか?
岡崎:ECサイトに関しては定量分析をまだ十分に行っていないものの、以前のシナリオ型のチャットボットでは質問に対して妥当な回答ができた確率が50%前後だったものが、SELFBOTに切り替えた後の回答の精度は80%以上になりました。お客様の自己解決率および顧客体験を高められていると感じています。今後は回答範囲を広げることで、より体験を良くしていけると考えています。
「SALONスターター」は新規導入なのでビフォーアフターの比較は難しいですが、開業コンシェルジュへの相談件数が増え、担当者からは相談の質が上がったとの声もあります。
MZ:自己解決できる質問数が増え、かつビジネスにつながる問い合わせが伸びているのですね。ちなみに質問はどのような内容が多いのでしょうか?
岡崎:手続きや求人、資金調達方法についての質問が多いですね。中にはより曖昧な質問もあります。導入前は「どんな回答をするのだろう」と思っていたのですが、想像以上に文脈を捉えた回答をしています。
もちろんまだまだ不十分なところもあり、チャットボットだけで開業にたどり着ける状況ではありません。しかし、質問に対して的確な回答をしているため、開業を志されている方の背中を押すことができているのではないかと思います。
MZ:中路様から見てビューティガレージ様のSELFBOTの活用方法の特長や、他社のヒントになるポイントがあれば教えてください。
中路:まず日本においてChatGPTなどの新しい技術が出た際は、特に企業利用において“様子見”されるケースが多いです。一方、ビューティガレージ様はセキュリティ的な担保はもちろん前提とされますが、新しい技術をまず使ってみるというマインドと、カスタマーサポートから営業対応まで、顧客体験を軸にしたお客様のジャーニーをきちんと描いたうえで、どこでChatGPTを活用するのが良いかを検討されました。双方のスピード感やマインドが一致したことが、スムーズな導入を実現した秘訣だと思います。
また、「SALONスターター」の事例からわかるように、オウンドメディアや企業ノウハウにおけるSELFBOTの活用は他の企業様でも再現可能です。しかも、ただコンテンツURLを紹介するだけでなく、各URL内の情報を学習しているため、ユーザーの任意の自然言語での問いに対しても、高い精度で回答をすることが可能ですから、顧客体験やエンゲージメントの向上が期待できるかと思います。