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スマートな撮影ディレクションの第一歩 写真のクオリティを握る「企画」の立てかたとは

企画書のまとめかたと共有するときのポイント

 ここまでで、企画は明文化、つまり「言葉にすること」が大切とお伝えしてきました。最後はさらに具体的に、どのような形で検討した内容をまとめて周囲へ共有すれば良いのかを、コンセントのメンバーが実践していることや工夫しているポイントをふまえて紹介します。

 まず、企画を周囲に共有するときは、次のふたつのステップで行います。

  • ステップ1.「企画書」として読みやすい資料の形にまとめておく
  • ステップ2. その資料を撮影チームへ共有し、口頭で補足説明をする

 企画を資料としてまとめず口頭で説明するだけだと、プロジェクトの途中で撮影の目的や方針が曖昧になったときに、もとの考えに立ち戻って再度認識合わせをすることが行いづらくなります。また、メール送付などで資料を共有するだけで口頭での説明をしないと、詳細まで伝わりきらず曖昧になったり、解釈の齟齬が起こってもそのことに気づきづらかったりといった状況になるでしょう。

 そんなリスクを回避するためにも、事前にこのふたつのステップを行っておくと、安心して撮影に臨めると思います。

 企画書の一例として、コンセント新卒採用サイトにある記事コンテンツ「プロジェクト座談会」の撮影・制作を想定した企画書を紹介します。

 このように、たとえカット数の少ない簡単な撮影でも、きちんと企画が言語化されていると、写真で表現したいことやその意図、重要視しているポイントが把握しやすく、納得しやすいように感じられるのではないでしょうか。

 続けて、この資料の作成と共有のポイントを紹介します。

ポイント1.使用シーンを想定して体裁と作成ツールを選ぶ

 コンセントのメンバーの場合、作成ツールは資料の用途によって適宜使い分けています。たとえば、企画内容を複数名の前でプレゼンテーションするシーンがあれば、Microsoft PowerPoint。取材先へ取材依頼書として提出するシーンがあるのなら、Microsoft Wordという具合です。最近では、簡単にまとめるときはNotionやMiroで作成することも増えてきました。

 プロジェクトチーム内で共同編集する場合は、各々の作業環境でも使いやすいツールにしておくと、あとから困らないのでオススメです。

ポイント2.プロジェクトに合わせてフォーマットを最適化する

 記載する項目は、先述の「企画に必要な5つのこと&検討のためのチェックリスト」をベースに、プロジェクトに合わせてアレンジしています。

 撮影のための検討事項は、プロジェクトの要件、撮影規模、難易度などによって内容や量が変わってくるはずです。そのため、毎回同じフォーマットで決まった項目のみを埋めておけば十分と思わずに、都度見直し、ケースバイケースで最適化することを心がけています。

 さらに、項目の名称(ラベリング)や語句の表記統一を撮影ラフなどの別資料と合わせて整えておくと、より共有相手へ伝わりやすくなり、印象も良くなるのでオススメです。

ポイント3.共有するときは企画内容と「相手への依頼」をセットで伝える

 とくにフォトグラファーへ撮影を依頼する際、香盤表(撮影当日のタイムスケジュール)や撮影ラフ(絵の構図)など、撮影そのものに必要な情報や依頼事項を伝えると思います。そのとき、コンテンツの目的や制作背景まで詳しく伝えられているでしょうか?

 フォトグラファーにとっても「何のために撮影するのか?」「どんなメディアで、どんな用途で使用する写真なのか?」という撮影の目的を知ることはとても大切。撮影の背景まで知ることができれば、受けた依頼内容への納得度もグッと高まるはずです。そうすればフォトグラファーから「それならこうするのはどう?」というプロ目線のアドバイスをもらえることもありますし、写真のディテールまで撮影プランを考えてくれることもあります。

 企画内容を伝える相手は、フォトグラファーだけはありません。たとえばクライアントへ撮影プランを提案するとき、取材を受けてもらう相手にポーズの説明や服装の準備を依頼するときも同じです。企画を齟齬のないよう共有することで、チームのみんなが撮影方針について「共通認識」をもつことができます。この認識こそ、撮影に取り組むための大切な土台。そのあとの撮影のクオリティを大きく左右する、チームワークの要となるのです。

 連載第1回の「企画編」はここまで。連載第2回は「準備編」です。撮影当日をむかえるまでにするべき準備や、うまく進めるためのポイントを共有します。お楽しみに!

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/14 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42776

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