生成AI活用のリスクと、その対策
生成AIの浸透とともに話題に上がっているのが、「権利侵害のリスク」に関する話だ。ビジネスで生成AIを使うにあたり、参照元がクリアになっていること、著作権はもちろん、商標権、意匠権、パブリシティー権がクリアになっていることは絶対条件だ。これらについて、Adobe Stockなど既に商用利用が可能となっている素材をベースに生成していけばこれらのリスクを回避できる。
また、情報流出のリスクについても忘れてはいけない。入力したデータが生成AIの学習に利用される可能性を排除する必要がある。何を参照元とし、入力したデータがどこまで使われるものなのか確認した上で使用することは必須事項となる。
マーケターはAIをどのように使いこなすべきか
コンテンツ生成や施策の実行において生成AIの活用が進むと「各企業の施策がコモディティ化してしまうのではないか」と考える人も少なくないだろう。この問いに対してアフジャ氏は、創造性・独自性をAIに頼ることは難しいと話した上で、「施策の差別化を図るのは、あくまでも人間の役割。そして人間主導であることを忘れてはいけない」と強調した。
創造性を発揮するために、人間が担う大きな役割として「キュレーション」が挙げられる。仕事や生活の中で、良いと思うものや理想を実現するために足りないものを、集めて、整えて、その中でストーリーを構築していくことが求められるようになるのだ。
「ビジネスの世界でも全く同じだと考えています。その中で生成AIは、人間がやりたいことを表現するためのツールのひとつとして登場しました。人間の能力を補佐するテクノロジーは今後も発達するかもしれませんが、感情を揺さぶるものを作る創造性は、やはり人間の中にあるのだと思います。たとえば、Adobe Sensei GenAIでは、『ブランドが目立つようにしていきたい』という思いを行動に移すために、同ソリューションを通して形にしていきます。そして最後に人間が、やるべき施策を人間自身が決断し、実行していく。それが、我々が今目指している理想の形です」(アフジャ氏)
今回、アドビが重ねて強調したことは「AIは副操縦士として活躍する」ことだ。AI時代に突入するにあたって、マーケターがAIとどのように協業していくのかがカギになってくるだろう。