小売店舗と連携し、より良い店舗体験を提供
――まずは松永さんの所属部署や業務内容について教えてください。
私が所属しているリテールサイエンス部での業務は大きく二つあります。一つ目は「リテールサポート業務」です。この業務は、量販チェーン店やコンビニエンスストアなど、リテールの事業者様向けに行う支援を意味します。当社商品に関する購買データを分析して売れ筋商品などを提案し、販売力強化につなげてもらっています。
二つ目は、リテールDXを推進する活動です。小売店舗と当社が連携して、店舗に来店されるお客様に、より便利な買い物体験を提供するための新たな仕掛けや取り組みを考案しています。
リテールサイエンス部には10名ほどのメンバーが在籍しており、そのほとんどがリテールサポート業務を担当している一方、私は二つ目のリテールDX推進業務をメインで担っています。
以前は手動でターゲティングしていた
――リテールサイエンス部では以前からレシートクーポン施策を展開しているとうかがいました。実施の背景について教えてください。
本施策は「カルビー ポテトチップス」を対象にしたもので、2016年に始まりました。これまでポテトチップスを購入したことがないお客様に対してクーポンを提供することで、新規顧客の獲得を目指しています。
ID-POSの過去の購買情報と購入後のレシートデータを基に、クーポンを提供するべき対象者をターゲティングします。次回来店時に使用できる「ポイント増量クーポン」を対象者のレシート明細の下部に印刷する形式です。
施策開始当初は、小売事業者様から共有いただいたID-POSなどの各種データのうち、顧客属性と併売商品を基にグルーピングしていました。クーポンを利用してくれそうな層を手動でセグメントしていたのです。具体的には「炭酸飲料」「お菓子」などのポテトチップスと一緒に購入されやすい商品と、それらの商品を購入するお客様をアソシエーション分析(※1)したり、リフト値(※2)で商品間の関係性を見たりしながらセグメントしていました。
※1 大量のデータの中から自社にとって有益な情報を見つけ出す「データマイニング」の一種。「もしこのような前提があれば、こういった結果が出る」という「前提と結果」を仮定してから、データ同士の関連性を深掘りする手法
※2 マーケティング施策を実施したことで、実施しない場合と比較して、どのくらいの効果を得られたのかを示す指標