※本記事は、2023年8月刊行の『MarkeZine』(雑誌)92号に掲載したものです。
【特集】社会価値創造と事業成長を考える
─ 目指すのは社会的価値創造と経済的価値向上の橋渡し、サイバーエージェントが取り組むGX事業
─ 事業成長と社会的価値の創出は、両輪。パナソニック コネクトが取り組むカルチャー改革の現在地
─ DE&I推進はビジネスにどう貢献するか 「P&Gアライ育成研修」が拓く可能性
─ 事業だけでは測れない統合的な企業価値が問われる時代に。電通の「統合諸表」が導くのは企業の未来設計図
─ 生理用品も会社の備品に。花王が社会巻き込み型で展開する「職場のロリエ」とは(本記事)
─ 環境と生活者双方の利益を追求する「い・ろ・は・す」のブランド戦略
─ チューリッヒが挑み続ける「地球環境への取り組みと社会への働きかけ」
─ デジタル広告の価値向上と社会貢献活動を実現するドネーションアドとは?
─ 誰も取り残さないブランド体験がイノベーションを生む。博報堂が掲げる「ブランド・アクセシビリティ」とは
社員の声から始まった「職場のロリエ」
―― 早速ですが、2022年3月に始動したプロジェクト「職場のロリエ」について教えていただけますか。
生理用品ブランドのロリエは、女性の心とからだに寄り添い続けることをブランドのミッションとし、コミュニケーションを展開しています。生理だけでなく、吸水などさらに先のケアも含めて、変化する女性のからだに寄り添っていきたいという思いで、生理現象を取り巻く環境をより良くするための取り組みを行ってきました。「職場のロリエ」もその一環として取り組んでいます。
「職場のロリエ」とは?
トイレットペーパーと同じように生理用品を職場の備品とすることで、生理に関する不安を少しでも解消しようと始まったプロジェクト。企業は、「職場のロリエ」を導入(有料)し、福利厚生として社員に提供することができる。2022年3月に始動し、20社以上が導入(2023年8月時点)。
「職場のロリエ」は、実は、社内で実施したアンケート調査がきっかけで始まりました。アンケートでは生理に関する悩みや苦労したことを聞いたのですが、「突然生理が来たときナプキンを持っておらず困った」という声が予想以上に多かったのです。社外調査でもたくさんの働く女性から同様の悩みが寄せられたため、女性の皆さんや企業様の声を聞きながらサービスを改善していけるよう、まずはテスト的にプロジェクトをスタートさせました。
「職場のロリエ」を導入いただいた企業様には、オフィスのトイレの数や女性社員の人数に応じてオリジナルボックス(画像1)をご提供しています。このボックスの中にはロリエの商品「スリムガード」が2 個入る仕様になっており、企業様には福利厚生の備品として「スリムガード」を購入いただく、なくなったら補充していただくという形で運営しています。