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【特集】社会価値創造と事業成長を考える

DE&I推進はビジネスにどう貢献するか 「P&Gアライ育成研修」が拓く可能性

 企業や従業員の持続的な成長にDE&Iは欠かせない。多様性を受け入れた平等な機会づくりにいち早く取り組んできたP&Gは、LGBTQ+への理解者・支援者の輪を広げる目的で、社外向け研修プログラム「アライ育成研修」を開発。2021年5月より企業や団体などへの無償提供を開始した。研修を開発した背景や社外提供の狙い、得られた効果について、広報渉外 執行役員の住友聡子氏にうかがった。

※本記事は、2023年8月刊行の『MarkeZine』(雑誌)92号に掲載したものです。

アライの認知度はわずか7.7%

──御社では2021年より、性的マイノリティであるLGBTQ+の理解者・支援者の輪を広げる目的で、社外向け研修プログラム「P&Gアライ育成研修」を提供しているとうかがいました。そもそも「アライ」とは何を指す言葉なのでしょうか?

 アライとは、英語で同盟・支援を意味する「ally」に語源を持つ言葉です。性的マイノリティの方々を理解し支援する人またはその考え方を指します。

P&Gジャパン合同会社 広報渉外 執行役員 住友聡子(すみとも・さとこ)
P&Gジャパン合同会社 広報渉外 執行役員 住友聡子(すみとも・さとこ)
2000年P&Gジャパン入社。様々なカテゴリーの製品広報を担当後、企業広報として企業ブランディングを立案・実施。2019年より現職。P&Gの企業・製品ブランドのレピュテーション構築、対外発信、組織育成を担うとともに、経営層によるE&Iチームをリード。

 当社で約5,000名を対象に調査を行ったところ、アライという言葉を「知っている」と回答した人は7.7%でした。そのうちの6%は「聞いたことがある」という程度で「詳しく知っている」と回答した人は2%以下です。言葉の意味を説明すると「賛同できる」「自分もなりたい」というポジティブな反応をいただくものの、言葉自体の認知度は非常に低いと言えます。

──アライ育成研修は、元々社内向けに実施していたそうですね。研修プログラム立ち上げの背景をうかがえますか。

 2019年の夏に、社長を含めた経営層へ向けてジェンダー研修を行いました。研修前はジェンダーに対する理解が深まると想像していましたが、研修後はジェンダーだけでなく、LGBTQ+や障がい者にも焦点を当てて多様性を推進する方針が固まったのです。

 具体的な取り組みの一つとして「LGBTQ+アライ」を社内で育成する動きが始まりました。海外のP&Gには既に存在していたアライコミュニティを日本でも立ち上げたところ、想像以上に多くの社員が反応してくれて。コミュニティの発足を機にカミングアウトする社員も現れ、当事者にとって言いづらい環境だったことを認識しました。アライ育成研修を社内で始めたのはその頃です。

 研修を通して、様々な驚きや学びがありました。多国籍の社員が働く外資系企業ということもあり、多様性を受け入れる土壌はそれなりに整っていると思っていましたが、自分たちの理解の至らなさを思い知る貴重な機会となりました。このプロセスは同じ課題を抱える他の企業様にも参考にしていただけるのではないかと考え、社外向けに提供を始めた経緯です。

LGBTQ+の人口比率は日本の六大名字と同じ

──具体的な研修内容を教えてください。

 まず、性の多様性に関する基礎知識の座学を行います。「LGBTQ+」という言葉の定義や、性的指向と性自認の違いなどを解説する内容です。研修の冒頭で二つの質問を投げかけます。「今までLGBTQ+の方と一緒に仕事をしたことはありますか?」と聞くと、大体の方が「全くない」「時々ある」に手を挙げます。次に「日本の六大名字(佐藤・鈴木・高橋・田中・渡辺・伊藤)の方と一緒に働いたことはありますか?」という質問をすると、こちらはほとんどの手が「よくある」に挙がります。

 実はこの二つの割合はいずれも8~10%とほぼ同じなのです。仕事相手の名字は認識できていても、仕事相手がLGBTQ+であることには気づいていないことを自覚する質問です。LGTBQ+が身近にいるとそもそも思っていないから気づいていないとも言えますし、当事者がカミングアウトできていない環境だから気づきようがないとも言えます。多くの方がこの事実に驚かれますね。現状を把握した上で座学を進めると「理解しておかなくちゃ」という意識が働きやすくなります。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/18 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42965

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