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【特集】社会価値創造と事業成長を考える

事業成長と社会的価値の創出は、両輪。パナソニック コネクトが取り組むカルチャー改革の現在地

 パナソニックグループは2022 年4 月、持株会社制へ移行し、BtoB 領域を担う新会社としてパナソニック コネクト株式会社が発足した。同社の前身組織に2017 年から参画する山口有希子氏は、引き続きCMO としてマーケティングを管轄し、並行してDE&I 推進やカルチャー改革に取り組んでいる。全社集会の形 式から社内コミュニケーションのトーン& マナーまで、相当数の転換を通して、従業員アンケートでも意識 の変化が数字で見えてきたという。これまでの取り組みや、事業成長と社会的価値の両立について、山口氏にたずねた。

※本記事は、2023年8月刊行の『MarkeZine』(雑誌)92号に掲載したものです。

存在する意味があり、競争力のある企業へ

 ――パナソニックグループは、2022年にパナソニック コネクトが発足する以前から、BtoB領域の事業における組織改革を進められています。まず、改革の根底にあるお考えをうかがえますか?

 根底にあるのは、当社が世の中に存在する意味がある企業体になり、同時に競争力のある企業体になっていくという意思です。

画像を説明するテキストなくても可
パナソニック コネクト株式会社 取締役 執行役員 ヴァイス・プレジデント CMO 兼 デザイン&マーケティング本部 マネージングダイレクター、DEI 推進担当、コネクトカルチャーHUB 担当 山口 有希子氏

 当社はまだ発足して1年ですが、組織改革に着手したのは約6年前になります。現CEOの樋口(泰行氏)が前身のカンパニー制のトップに就任したとき、「3段階の企業トランスフォーメーション」を打ち出しました。土台として風土改革があり、次にビジネス改革、そして事業立地改革があるという構造です。これは今も引き継ぎ、実践しています。

 その上で、当社が発足した際に新たにピラミッド型の「経営のフレームワーク」を策定し、最上位にパーパスを位置付けています。

 ―― パーパスには、御社発足時にアップデートされた「現場から社会を動かし 未来へつなぐ」と掲げています。これを最上位として、コアバリュー、事業戦略、機能戦略、オペレーションの順で置かれているのですね。

 はい。このパーパスの実現には、やはり「社会的企業である」ことがとても大事です。冒頭でお話しした、世の中にとって意味があるかということですね。具体的には、外を向いてしっかりと顧客を見ていること。カスタマーエクスペリエンスをよく踏まえ、顧客を知り尽くして、一貫したユーザー体験を提供していくことが大事になると思います。

 ――さらに2023年4月には、デザイン部門とマーケティング部門が統合されました。この動きには、どのような意図があるのですか?

 目的は、前述のパーパスの実現を大きく前進させることです。当社が経営の指針として推進している3段階のトランスフォーメーションや経営のフレームワークの実践においても、マーケティングがプロジェクトマネージャーとして社内の様々な部分をつなぐ役割を担っていますが、そのいずれにも“デザイン” が関与してきます。

 デザインというと、特に当社は昔からものづくりをしてきたので、プロダクトデザインを想起されるかもしれません。ですが今、デザインの領域はコミュニケーションやブランドのデザイン、サービス自体のデザインにまで広がり、もはやUI / UX構築を担うものへと発展しています。

 一方、マーケティングも近年どんどん領域が広がっています。単なるプロモーション担当ではなく、より経営に近くありながら、お客様の課題やどうすれば価値を感じていただけるのかを検討する。その過程で、これまでもデザイン部門と連携してきました。

 今回の統合は、その延長です。まだ途上ですが、デザインとの統合はパーパス実現を目指す組織づくりへのバリューアップになる、付加価値を増す一因になっていると思います。

デザイン部門とマーケティング部門の統合で、パーパスの実現を大きく推進
デザイン部門とマーケティング部門の統合で、パーパスの実現を大きく推進

“大企業病”を脱し、視線を顧客へ

 ――では、3段階の土台となるカルチャー&マインド改革についてうかがいます。どのようなカルチャーを目指し、そのためにどんな取り組みをしているのですか?

 前提として、どれだけ戦略や組織の能力が優れていても、健全な文化がなければ企業はうまく機能しないという考えがあります。では、健全な文化とは何かというと、端的に言えば“大企業病” の逆です。組織が拡大し、スピードが遅くて保守的で社内にばかり意識が向くような状態を“大企業病” と言いますが、そうではなく「意思決定が速くチャレンジ精神があり、アクション思考である」状態を目指しています。

 特に、内向きではなく外向きの意識が重要です。お客様のほうを向かなければ、求められ喜ばれる価値提供ができない、言い換えると成果の上がるビジネスを正しく推進できない時代になっていると思います。

 具体的な施策は、いくつかの観点に基づいて、本当に数多く実行しています。たとえば役員個室の撤廃や朝礼の改善、週報のような内向き業務の削減などですね。格式張っているとコミュニケーションのスピードが落ちるので、SNS活用や役員の服装のカジュアル化も実践しています。この服装のトーンや、社内外へ発信するコンテンツの統一などは、マーケティングが各部門と連携して推進しています。

次の観点でカルチャー&マインド改革の施策を連打
  • お客様接点最大化
  • 内向き業務削減
  • 働き方改革
  • コンプライアンス
  • コミュニケーション強化
  • Diversity, Equity&Inclusion

 ――相当たくさん実施されているのですね。現時点での手応えはいかがですか?

 過去5年にわたって社内アンケートを継続していますが、最新の結果では76%が「会社のカルチャーが変わった」と答えています。個別施策でも、たとえば部下主体で対話を重視した1on1ミーティングには、約80%が「成長につながっている」と回答しています。

 ただ、カルチャー改革は一部の推進チームだけが行うのではなく全社で取り組むことが重要で、しかもそれでも一筋縄では変わらない、とも実感していますね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/17 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43012

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