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MarkeZine Day 2025 Retail

「欲望(Desire)」で紐解く、消費者の今と未来

今の消費トレンドは言い訳しない「堂々消費」 コロナ五類化を機に“胸を張って”楽しめる消費が拡大

言い訳をしない、「堂々消費」とは?

 心が動く消費のジャンルにはご紹介したような傾向が見られましたが、もう少し詳しく、自由回答も見ていきましょう。調査では、心が動いた消費について、具体的な商品や内容、またそれによってどんな風に気持ちが満たされたのかを自由回答で答えてもらっています。老若男女、様々な方が、ある消費行動によってどんな気持ちが満たされたのかを説明しているその回答に、世の中の空気感や消費者の今の心持ち、考えていることまで見えてくるのがこの自由回答の大変おもしろいところです。

 今回の自由回答結果を見てみると、これまでの調査で多く見られた「近場なので」「自粛してばかりなので」といった自分や周囲に対しての言い訳と受け取れるような言葉がまったく見られず、堂々と消費を楽しんでいる様子がありました。実際の回答を少しご紹介しましょう。

外食

・焼肉飲み会:3年ぶりに会社の飲み会を行った。コロナで飲食会が中止になっていたので一つの区切りだと思った。(60代男性)

・軽井沢のレストランテラス席:愛犬と、家族で、ゴールデンウィークに、のんびり楽しい時間が過ごせて最高でした。(60代女性)

・アジフライ定食:帰省した際、両親と一緒に食べに行った。新型コロナの感染拡大が落ち着いたこともあり、高齢の両親にとっては約3年ぶりの外食。みんなで美味しい物をお腹いっぱい食べられたため、とても良い体験だった。(30代女性)

・居酒屋:久しぶりに会った友達と美味しい料理を食べながら楽しい会話ができたから。(60代女性)

映画

・ゲームのアニメ映画:話題になっている映画を映画館で見たい。映画館で見る映画を満喫するのにふさわしい作品であると、行動に移した。(30代男性)

・ドラマ映画:久しぶりに映画館で映画を見た。大画面と音響で迫力のある映像はとても面白かった。(50代女性)

・ハリウッドのホラー映画:好きなものを好きだと思う気持ちを深めたい。ドキドキしたい気持ち。かわいい!と思う気持ち。(30代女性)

・邦画のドラマ映画:ここ数年映画を観ていなかった。ハリウッド映画のような派手さはないが老人と少年の淡々とした毎日が心にしみた。(70代女性)

衣料品

・カジュアルシャツ:久しく洋服を購入していなかったので、気分が変わるような洋服を探して購入した。(30代男性)

・米国カジュアルブランドの服:出かけたり、人に会う機会が多くなり、お出かけ用の服を購入しました。きれいめカジュアルで、明るい気持ちになります。(50代女性)

・カーディガン:コロナ禍で服を買わなくなって、服に興味がなくなってきていたのに、これだけは買いたいと購買意欲がかきたてられた。これを着て外にぶらっと出掛けたい。(30代女性)

・色違いのニット:ライブに着ていく洋服が欲しくて、デパートでちょうどサイズのあうニットを色違いで2着購入した。すごくうれしい気分でライブに参加できた。(60代女性)

レジャー/テーマパーク

・テーマパーク:家族が以前から行きたがっていたので、九州に里帰りした時、遠回りだが一泊して行って来た。(70代男性)

・映画系テーマパーク:コロナ規制がやっと緩んで旅行に行きたいなと非日常を体験したいのが重なってチケットを購入した。何歳も若返ったような気持ちになれた。(50代女性)

・テーマパークのアトラクション:長時間並ぶという行動を久々にした。アトラクションは感動したしやっと見られたという達成感で楽しかった。(40代女性)

・城下の公園施設:自然の景色を楽しむことや、行ったことのない施設を体験して新たな刺激を受けたかったから。(40代女性)

・水族館:GWに子供と友達家族とで広島から島根に。運転疲れたけどシロイルカのバブルリングみれたしペンギンかわいいし何より子供達がキラキラしてて母は嬉しい。(30代女性)

・映画系テーマパーク:日頃の仕事を離れ、非現実的な世界と場所で、非日常的な時間と体験イベントを楽しみたいと思って、利用した。(50代男性)

 いかがでしょうか。いずれの回答にも、消費に対して後ろめたい気持ちや理由をつけるような表現がなく、言い訳やためらいの言葉もありません。自分が欲しいもの、したいこと、見たいものに対して、堂々と消費活動をしたことが伝わる内容ばかりです。

 DDDでは、言い訳やためらいなく、胸を張って堂々と消費を楽しむ消費者のこの傾向を「堂々消費」と名付けました気分のいい消費を気持ちよく行い、その消費によってまた気持ちが盛り上がっていく――この3年はなかった消費トレンドは、今後の消費意識にも大きく影響を与えていくのではないかと考えます。

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欲しいものを我慢している若年女性、欲しいものが欲しい若年男性

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この記事の著者

千葉 貴志(チバ タカシ)

株式会社電通 ソリューションクリエーションセンター 未来インサイト部 プロデューサー/プランナー/電通デザイアデザインメンバー

2008年電通入社。営業、デジタル、テレビ、電通総研などの部署を歴任し、現在は消費者研究プロジェクトDENTSU DESIRE DESIGNの一員として「欲望」を基点とした消費動向やト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/06 12:16 https://markezine.jp/article/detail/43314

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