街と球場のタッチポイントを創出し、球場外にも収益源を確保する
高橋:コロナ禍の経験は、観客動員数をKPIとする興行依存の体制に潜む課題を浮き彫りにしたとも言えますね。
林:箱モノのビジネスだけではどうしても限界があるため、球場の外に収益源を作ることはコロナ前から検討していました。
横浜スタジアムと横浜公園を、野球を通じたコミュニケーションの起点にする「コミュニティボールパーク」化構想を立ち上げました。また、関内周辺の街レベルに広げた「横浜スポーツタウン構想」も取り組みの1つです。横浜市の地域活性化に向け、DeNA、横浜DeNAベイスターズ、横浜スタジアムと横浜市の共創で取り組んできましたが、コロナ禍で停滞していました。
今後はこの再始動に合わせて、改めて街への滲みだしに取り組んでいく予定です。

高橋:具体的な計画があれば、ぜひ聞かせてください。
林:レフトウィングの奥に位置する横浜市庁舎が移転し、跡地に企業コンソーシアム「KANNAI 8(カンナイエイト)」による超高層複合ビルが建つことが決まりました。そのうちのタワー棟に、国内最大級ビジョンを有するライブビューイングアリーナが新設され、横浜スタジアムのイベントがない日も様々なエンターテインメントを配信していくことになっています。
今年、球団としてライブビューイングアリーナを運営することが決まりました。まずは2026年の開業に向けて、事業の成功確率を上げるための取り組みに注力していきます。同時に、試合以外でも球場で楽しめる演出を強化し、街や市民とのタッチポイントを増やして、野球に触れる機会を多くの人に提供していきたいですね。
様々な入り口を通じて多くの人に横浜DeNAベイスターズと野球の魅力に気づいてもらい、野球界の発展に貢献できたら嬉しいです。
ここにマーケあり!
・予期せぬパンデミックの中でも、ファンとの関係構築をはかるポイントの設計、またハード面改修によって、日常を取り戻した今、大きく観客動員数を更新することにつながりました。
・“勝ち”の体験を最適化すること、“負け”ても楽しんでもらう仕掛けが、結果として勝敗に左右されない満員の球場を作り、チームを勝ちへ導いていました。
・横浜ならではの地域の魅力と住民、球場とのタッチポイント創出によって、さらなる成長へつながっていくことが期待されます。
