MarkeZine特別セミナー『2030年の広告ビジネス』講演会を開催
この10年でデータの利活用は常識となり、「広告ビジネスのデジタル化」が進んだことで広告業界は大きく様変わりした、ならば「デジタル化の次に来る大転換」はなんだろうか――そんな大きなテーマを掲げて、MarkeZineは8月に『2030年の広告ビジネス』の著者、横山隆治氏と榮枝洋文氏を講師に招いた特別セミナーを開催しました。
同セミナーは、日本マイクロソフトの会場協賛のもとオンラインとオフラインのハイブリッドで開催。オンラインには300人超の視聴者が集まったほか、オフラインの会場には招待者約70名が来場し、熱気と緊張感のあふれる特別な時間になりました。
書籍『広告ビジネス次の10年』(翔泳社/2014年)の刊行から約10年が経ち、いわばその続編として今年4月に刊行された『2030年の広告ビジネス デジタル化の次に来るビジネスモデルの大転換』は、2030年までに広告ビジネスがどのようなトレンドを経て変化していくのかを予想・解説するものとなっています。現在の潮流を前提に、同書で提示されているトレンドは、次の7つです。
1.「マーケティング支援」から「事業支援」へ
2.日本ローカルのデジタル化 vs. グローバルデジタル
3.広告クリエイティブのAI化が本格始動
4.エージェンシーとSIerとの連携協業が始動
5.SNS起点のコミュニケーションプランニングはCMクリエイティブにまで到達
6.マーケティングコンサル vs. ITコンサルの攻防激化
7.YouTuberビジネスの終焉とコンテンツの見直し~テレビ番組の凋落は続く~
セミナーでは、はじめに横山氏が、エージェンシー側の視点で、上記7つのトレンドにいかに対応していくべきかを講演。「広告業界という枠組みが薄れてきている今、エージェンシーは自らの生き残りをかけて、業態改革を早期に進める必要がある」という課題を提示した横山氏の講演は、危機感を新たにさせられるものでした。
「恐らく、今日ここで明示したビジネス課題について、エージェンシーサイドにいる多くの方々が『そんなことはわかっている』と思われたと思います。ですが、『どうやるか』について明確な考えを持っている方は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか。世の中の動きに対して、エージェンシーはどう動いていくか、どんな業態・どんなポジションを取るべきなのか。『2030年の広告ビジネス』はそうしたことを考えるための本になっています」(横山氏)
横山氏に続いてマイクを持ったのは、NYから一時帰国していた榮枝氏。同氏の講演は、「情報のシャワーを浴びるとはこういうことか」と実感するようなものでした。約30分の講演で出てきた話トピックスは、大きく扱われたものだけをざっと挙げても以下16に上ります。
・ユニクロの店舗数が減少しているのはなぜ?
・グローバル大手広告企業、GAFAMとNVIDIA、Teslaの企業価値推移
・The Trade Deskの事業モデル
・コネクテッドテレビ広告が持つ価値
・コネクテッドテレビにおけるテレビ配信事業者の変化
・コネクテッドテレビテレビの配信ルート業者の変化
・S4 Capitalから気づける、エージェンシーの近未来
・Amazonの事業概況の裏側
・アメリカのリテール最新状況
・Microsoftのゲーム企業「Activision Blizzard」買収の意味
・広告に利用される軽い側のデータと、医療・金融・保険・教育にある重い側のデータ
・Microsoft Azure、Amazonの重い側のデータ「医療」分野の取り組み事例
・Goldman SachsのBtoC向け金融市場参入
・Microsoft、Chat GPTのBtoBでの稼ぎどころ
・重たい側にある一人称データとは
・AI、データ、衛星(衛星コンステレーション)、エネルギーの事業が繋がっていく「垂直統合」という現象