最後に、日本マイクロソフトの有園氏をモデレーターに迎え、約40分にわたる質疑応答も行われました。質疑応答でも様々な話題があがりましたが、特に興味深かったトピックスとして、「コンサルの領域が広告・マーケティング領域に拡大しつつある中、エージェンシーにしかない価値や強みはどこにあるのか?」についての議論を最後にご共有したいと思います。

エージェンシーは、まだ強みを活かし切れていない
横山:講演ではエージェンシーのディスアドバンテージのほうに目を向けていましたが、今後強みとなり得るところについてもお話しをすると、「コンサルして→ブランディングをして→エグゼキューションをして→またコンサルをする」というループをいかにきれいに回せるかで、エージェンシーの価値はこれから大きく変わってくると思います。要は、エージェンシーの強みは「エグゼキューションできる」ところにあるわけです。
アクセンチュアも、今日本で一番欲しいのは、日本のメディアのバイイングの口座なんじゃないですかね。
榮枝:バイイングというエグゼキューションができる口座のことですね。
横山:そう。そして、この話題で一番重要なのは、エージェンシーがその強みを活かし切れていないということです。広告主に対して難しいオペレーションをしているにも関わらず、エージェンシーはそこから次の課題を吸い上げる機能を持っていない。ここをちゃんとやらないと、必ず負けると思います、コンサルに。
作業として若い子たちにオペレーションを任せて、そのまま終わらせているからダメなんです。どういうオペレーションをして→どういうエグゼキューションをして→その結果がどうかという検証にストプラ(ストラテジック・プランナー)がちゃんと入り込んで、新たな課題を抽出しないと。
下手すれば、アクセンチュアがエグゼキューションの機能を買って、自社でその仕組みを作るかもしれないですからね。僕がアクセンチュアのトップだったら、そうします。
有園:ちょうど先日、同じようなお話を電通のクリエイターの方からもお聞きしました。「我々はコンサルだけで終わらない。伴走して、エグゼキューションまでやるんだ」と。
横山:エグゼキューションまでやるのだから、次の課題抽出までやらないとダメなんですよ。上の人間が自分たちでやらないにしても、オペレーションを回している若い世代の子たちに教えないといけないですよね。
有園:そこが、まだできていないんですね。
横山:できていないでしょう。ずいぶん長い間やっているのに、ずっとできていないです。教えたいですよね、彼ら(若手)の価値を上げるために。
