8つの基本属性をくすぐる具体的な要素を紹介!
先ほどの「ついやり続けたくなる」を促す人間の8つの基本属性を踏まえ、それらを訴求する具体的な手法(要素)を解説していきたいと思います。行動中心設計では、人間の8つの基本属性に対しそれぞれ9つの要素を定義しています。合計で8×9=72の要素が存在し、すべて説明することは文字数の都合上難しいため、例として「進展性」の要素を取り上げて解説します。

進展性を訴求するためには以下の9つの要素が挙げられます。これらの要素を生活者との接点に設計することで人間の進展性を訴求し、粘着質に「つい続けたくなってしまう」習慣UXが創出されます。
・進捗可視化:行動やスコアなど、現在のステータスを見える化(レベルアップゲージなど)
・アクションポイント:サービス利用行動によって蓄積していく数的スコア(経験値など)
・初心者設計:サービスの利用開始時に、次に何をすべきかを一本道で順番に提示(チュートリアルなど)※説明を読ませるのではなく、生活者にタップやクリックなどの行動を促す
・段階ゴール:生活者が目指すべき目標を段階的に設定(レベルなど)
・ランキング:スコアなど定量的な情報を他人と比較しながら出し、自分の位置を相対的に提示(リーダーボードなど)
・インタラクト演出:生活者がサービスに対しインプットやアクションをした際に、即時にレスポンスをビジュアルで表現(画面タップ時のエフェクトなど)
・称号:一定の行動を達成した際、名誉として非金銭的な肩書きなどを授与(メダルや通り名など)
・指標可視化:生活者のサービス内における行動を指標化(体力ゲージなど)
・天井:最終的に目指すべき定量的な目標値を設定(レベルの上限値表記など)※段階ゴールとの合わせ技で使われることも多い
実際の施策に取り入れるポイントは?
このように習慣UXは、毎日やり続けたくなってしまうゲームUXを分解・再構築し、独自に定義した人間の8つの基本属性と各属性に対して有効に働きかける9つの要素で構成されます。この「ゲーミフィケーション2.0」を活用したフレームワークは非常に汎用的で、大きく分けて以下の3つのシーンで活用することができます。
1.サービスの粘着度を評価する(客観評価)
サービスに実際に具備されている機能群を、フレームワークの72要素にマッピングし定量化することで、粘着度の強さをスコア化することが可能です。また自社サービスと同じカテゴリーのサービスの粘着度スコアを比較することで、相対的に粘着度の優劣を図ることもできます。
2.サービスを粘着質に改善する(改善設計)
自社サービスをより粘着度の高いサービスに昇華させていくため、現時点で実現している要素を洗い出し、改善の方向性を示唆することが可能です。
3.粘着質なサービスを設計する(価値創出)
新たなサービスや新規事業を立ち上げる際、どの属性に対して喚起するのかを定めた上で必要な要素をピックアップすることで、粘着度の高いサービス創出のヒントにできます。
第4回では、行動中心設計のうち「ついやり続けたくなってしまう」粘着質な習慣UXについて全体像をご紹介しました。ゲームUXを手法論ではなく本質論で活用していくゲーミフィケーション2.0の考え方が、皆さんのマーケティング活動の一助になれば幸いです。