強い動機を生む、人間の8つの基本属性とは?
ここからは、行動中心設計で定義している人間の8つの基本属性について紹介していきます。これら8つの基本属性は、外部サービスへの粘着度における客観的な評価や、自社サービスに対する粘着度を高める改善設計などの場面で、非常に役立ちます。順に一つずつ説明していきます。

進展性
進展性は、前に進む・広がる変化を好む属性です。
ラジオ体操でスタンプを押してもらえることで、日々達成感を感じた記憶はありませんか? 学生時代に偏差値やテストなど、点数の変化に一喜一憂した方もいると思います。数値化された指標の変動や目標に対する進捗が可視化されることに対し、強く動機付けがなされる属性が進展性です。ゲームUXでは「経験値をためてレベルアップ」「ミッションを1つずつクリアする」などのシーンで活用されます。
保持性
保持性は、所有、あるいは自分好みに設計することを好む属性です。
子供時代にブロックを組み立ててオリジナル作品を作りあげたり、様々な服を集めて着せ替え人形を楽しんだりという記憶はありませんか? このような収集や自分用にカスタマイズできるものに対し、愛着を持つなど強い動機付けがなされます。ゲームUXでは「自分だけの街を作る」「自分のアバターをカスタマイズする」といった形で使われています。
希少性
希少性は、手に入りにくいものを好む属性です。
期間限定セールの文字を見かけて特に欲しいものはなくても確認してみた経験や、先着100名のキャンペーンにエントリーをした経験がある方もいるでしょう。制限や限定がされたものの価値を過大に評価し、購買などに対して強く動機付けがなされる属性が希少性です。ゲームUXでは「1日1回限定」「超レアアイテム」などが挙げられます。
固有性
固有性は、「やらなければいけない」と自分ごと化される属性です。
日本代表が世界一を決める決勝戦に出場した際に見届けなければと駆り立てられたり、大きなプロジェクトを任されてやり遂げなければと強く感じたりする状況を思い浮かべてください。自分の役割が明確な場合や共感する物語に対して自分ごと化されると、やらなければいけないと強く動機付けがなされます。ゲームUXでは「ストーリー」「世界観」などで活用されています。
忌避性
忌避性は、「得を得るよりも損を回避したい」と感じる属性です。
食べ放題のお店で、元を取りたいからたくさん食べようとした経験はありませんか? また、今を逃すともうチャンスはないと言われてつい購入してしまった商品などもあると思います。ゲームUXでは「自分の所有物が一定時間で使えなくなってしまう」「一定時間遊ばないとレベルが下がってしまう」などの形で用いられています。
創造性
創造性は、自分の意思で選べる選択肢がある時に有能感を抱く属性です。
文化祭でクラスの催しを仲間と作り上げていく過程の楽しさや、トランプのゲームで相手の手札の予想が当たった喜びをイメージしてみてください。人間は特定の制限下において、自ら選択肢を選べることで有能感が高まります。ゲームUXでは「デッキ編成」「武器の組み合わせ」といった用いられ方をしています。
社交性
社交性は、社会とつながりたいと感じる属性です。
SNSで自分が投降した内容に「いいね」が付くと嬉しく感じませんか。困っている人に自分が答えを教えることで、喜びを感じた人もいるでしょう。このように、社会や他人とつながりを感じることに強く動機付けがなされる属性が社交性です。ゲームUXでは「友達招待」「複数人プレイ」などで活用されています。
偶発性
偶発性は、運の要素を通じて驚きや発見に喜びを感じる属性です。
福袋を購入する時や学生時代の席替えにドキドキした記憶はありませんか? 自分の能力とは関係なく、運の要素によって結果が変わるものに対して人間は強く動機付けがなされます。ゲームUXでは「ガチャ」「レアキャラクターとの遭遇率」などの形で利用されています。