その会議は本当に必要か?見直してみよう
――最後に、「10.無駄な打ち合わせを減らし、分析・最適化の業務時間を増やすべし」についてうかがいます。どのような打ち合わせが無駄だと皆さんは思いますか?
橋本:分析レポートの単純な読み合わせに終始し、踏み込んだ考察やネクストアクションに関する議論がない打ち合わせは無駄だと感じます。また、参加者は多いものの発言者が限られてしまっている打ち合わせも散見されます。そういった場合には、チームリーダーが参加者全員に話題を振ったり、参加者が気になった点をその場で意見したりする姿勢が重要です。
飯島:各チームの担当者が順番に進捗報告だけして終わる会議も「時間がもったいない」と思ってしまいますね。プロジェクトの進捗は資料を見ればわかりますし、そもそも進捗報告であれば会議でなくとも良いでしょう。

梅澤:準備不足の会議も時間の浪費につながります。たとえば、口頭では伝えにくいテーマを議論する必要がある場合、関連資料があると良いのですが、それを担当者が準備してきていない──そんなケースが時たま、見受けられます。

梅澤:また、クライアントとの会議でよくあるのが、担当者不在のため持ち帰りになるケースです。持ち帰りになると、どうしてもプロジェクトの進行が延びがちです。そのため、私がクライアントと打ち合わせをする際には、事前に回答を用意しておくなどして、なるべく持ち帰らないように気をつけています。
橋本:最近では、どの業務にどの程度の時間が割かれているかを計測するツールもあります。業務効率化のためには、どの業務が時間を浪費させているのかをまずは可視化しましょう。その結果、「会議に時間を取られ過ぎている」とわかったなら、打ち合わせの参加者や事前準備、進行に関するルールを見直すことが重要です。業務時間を可視化するツールがない場合でも、メンバーの日報や週報のフォーマットを定めるだけで、業務時間の内訳の可視化が可能になります。
AI/MLは情報収集の手段でしかない
――ここまで10の手法についてうかがってきました。最後に、この連載を最後まで読んでくださった読者の方に、今後備えておくべきスキルについてアドバイスをお願いします。
飯島:多方面から入ってくる各種情報を適切に評価し、選別して活用するスキルが重要となるでしょう。たとえば、今注目のAI/MLも、あくまで情報収集の一つの手段でしかありません。人から得られるインプットもあれば、AI/MLから得られるインプットもある。このように様々なチャネルを通じて情報が集まってくる時代の中で、それらをどう取捨選択し、次のアクションに活かすかは人が判断すべきです。マーケターの皆さんにはぜひ、アクショナブルな情報を見抜く力を身につけていただきたいと思います。
橋本:アドビが提供している様々なマーケティングツールにおいても、生成AIの導入が今後加速度的に進んでいきます。生成AIを活用することで、アイデア創出からコンテンツ配信までの時間が短縮され、その結果、マーケターはあらゆるチャネルを通じてより優れた顧客体験を提供できるようになるでしょう。そのためにも、現状に満足せず、まずはご自身の担当業務をデータ活用によって効率化し、なるべく多くの時間を優れた顧客体験を提供するための業務に割いていただければと思います。
――ありがとうございました!AI/MLはうまく活用すれば業務効率化につながりそうですが、そのためにもまずはマーケター自身が情報の真偽を見定める目を養う必要がありそうですね。読者の方々には、本連載で紹介したポイントをできるところから自社の業務にぜひ活かしていただきたいと思います。
