今までの食習慣を変えずに健康を当たり前にする
磯山:ベースフードさんの「完全栄養食」と言えば、元々パスタのイメージがありましたが、最近はコンビニのレジ横にパンが置かれている印象が強くあります。
齋藤:今はパンが売上構成比の9割を占めています。1食で必要な33種類の栄養素がすべてが摂れる「完全栄養食」のパスタから始めて、パンやクッキーをリリースし、自社EC・サブスクリプション(定額課金)を中心としながらリテールでの販売も広げています。
「食事として満足感があるものを食べたい」というユーザーの声から、調理済みの冷凍食品「Deliシリーズ」も2023年2月に発売しました。
磯山:「完全栄養食」という商品を開発するきっかけは何だったんですか?
齋藤:代表の橋本が以前IT企業で忙しく働いていて、「栄養バランスの良い食事を仕事と両立させるのが非常に難しい」ということに気づき、この課題を解決したいと考えたのが始まりです。
磯山:以前から粉末やドリンクの「完全栄養食」はありましたが、パスタやパンというのが新鮮だしおもしろいなと思いました。
齋藤:粉末やドリンクの場合、今までの食習慣を変えて、それまで飲んでいなかったものを取り入れなければなりませんよね。それに比べて、いつも食べているパスタやパンを別のものに置き換えるだけ、というのを他社との違いとして売り出しました。
ユーザーのSNS発信を促す「余白」と「見える化」
磯山:最初はパスタから始まり、パンやクッキー、冷凍食品も発売して、購入者層もだいぶ変わったのではないですか?
齋藤:初期の頃は、時短や効率化を求めるIT界隈の人などが多かったですね。ここ数年は、よりライトな層に広がってきています。
磯山:利用シーンや年代などによって、ユーザーとのコミュニケーションを変えたりしますか?
齋藤:同じ「完全栄養食」という商品でも、ユーザーが感じる便益は異なります。ですので便益ごとにLPを分け、ダイエットしたい人には「糖質だけでなくタンパク質も大事ですよ」、子供を持つ親には「偏食しがちな子供の栄養バランスに役立ちますよ」といったようにコミュニケーションを分けています。
どのターゲット向けでも共通して工夫しているのは、同じ悩みを抱えている人のUGC(ユーザーによって制作・生成されたコンテンツ)を購入フローの中で見せることですね。
磯山:UGCを重要視していらっしゃるのは、サイトなどを拝見して感じていました。ユーザーの発信を促すための取り組みやポイントはありますか?
齋藤:一つはデザインです。SNSに投稿したくなるパッケージをはじめ、段ボールや販促物にもこだわっています。
もう一つは、我々から「こういう味です」と詳細に伝えないことで、食べたユーザーが主観的な味の感想を言える「余白」を残すことです。人によって感想に違いが出るからこそ投稿する意味があるし、他のユーザーにとって価値のあるコンテンツになります。
磯山:確かに、企業側から「こういう味です」と言われたら、食べてみて「ああ、そうだな」で終わってしまいそうですね。
齋藤:後は「栄養ダッシュボード」という機能をユーザーさんのマイページに用意しています。これまでにBASE FOODをどれくらい食べたか、それによって栄養素をどれだけ摂取したのかを見える化する機能です。
がんばってきた履歴を見える化することで達成感もありますし、人に言いたくなるので、UGCを増やすきっかけになりますね。