2.Intelligent Design Suggestions:インテリジェント・デザインの提案
Intelligent Designを日本語に直訳すると「知的なデザイン」。なんとも曖昧な言葉ですが、ここでは「優れたデザインの提案」と解釈して進めていきます。
Text to UIの領域で先行しているのは「Uizard」でしょうか。このツールは、クラスメソッドさんの記事で細かく検証されているのでそちらをご覧ください。
もしかすると、Figmaに買収されたDiagram社が開発しているツール「Genius」がインテリジェント・デザインに近いものを提供するかもしれません。Geniusでは、ユーザーがFigma上で行うデザインの操作を学習することで、何をデザインしているかを理解し、デザインの構成要素を使用してUIを自動提案、つまりAIをアシスタントとしてUIデザインを進めることが可能です。
しかし前回の記事でも一部紹介したように、Text to UIでガイドラインという制約を与えた上でデザインを提案してもらう機能は現状実現していません。Geniusでも構想は示されているものの、現段階ではツールは公開されておらず詳細はわかっていません。今後に期待ですね。
3.Design Feedback and Critique:デザインのフィードバックと批評
デザインにおいて客観的なフィードバックをもらい、修正改善をすることは非常に重要です。品質向上はもちろん、作業者の持っていない新しい視点を得ることができたり、フィードバック自体が経験学習の場として機能するなどの効果があるからです。
このプロセスをAIが支援してくれるのであれば非常に助かります。一方、AIがフィードバックを行うためには、前段で説明した「デザインパターン認識」が不可欠です。AIは、学習データにもとづかない新たなパターン提案が得意ではないため、仮に既存のデザインデータを学習させたとしても、AIから新しいパターンや創造性を得るのは難しいでしょう。
またデザインレビューではパターンをもとにしたものではなく、ベストプラクティスやデザイン原則などから新たなフィードバックをもらえることもあるはずです。AIにそれが可能かと言うと、定量的に扱えるデータをもとにフィードバックすることは不可能ではないでしょう。ただ、デザインには審美性などの「主観的要素」が含まれており、何が「良いデザイン」であるかは文化や個人の好みによって異なる場合もあります。AIは客観的なデータにもとづいて動作するため、このような主観による評価はとても難しいです。