SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ためになるAIのお話。

「今なら、iPhoneよりChatGPT4選ぶかな」ChatGPT4を使いたくなる、深津貴之さんの話

結局、広告領域でAIを使うメリットって?

深津:冒頭のテーマに戻って、AI×クリエイティブで何ができるのか? 一番シンプルには、100万ユーザーに向けて、100万通りのパーソナライゼーションができるようになるということだと思います。パーソナライゼーションを3万パターン組むとかも、AI使えば余裕ですよね。顧客セグメントを500に分けて、セグメントごとに10個のクリエイティブを出してABテストやるとかも。広告だけじゃなく、アプリのUX/UIの出し分けとかも。

藤平:深津さんは、そういうA/Bテストで比較検討をして、良かったものを育てていこうという思想を元々お持ちですもんね。その勝ち抜き戦型の良さもわかりつつ、なんとなくクリエイティブ業界は、オーダーメイド文化というとか。「一点もの」を信じ抜く美学みたいなものがまだマジョリティな気もします。

深津:わかります(笑)。

藤平:個人的に「そうありたい」という気持ちはもちろんあるのですが(笑)、AIが出した数万通りの解よりもクリエイターが絞り出した1つの解のほうがいいっていう、あのカルチャーとAIはどうやって融和していくのがいいんですかね。僕も実務でフェラーリを使いこなしたいです。

深津:売上で殴って勝つみたいなことになるのでは? 結局、AIを使うことのメリットと言えば、5億分の予算が必要なクリエーションを1億の予算でできる、といった話になってくると思います。

藤平:AIは効率的にビジネスインパクトを得られる装置である、と。そうすると、浮いた予算でよりブランデッドなことをできたりするかもしれないし、クリエイターにとっても対立する存在ではなくなる気もします。

AI=人間のリプレースではなく、「チームメンバーが増える」と思うと使いやすい

藤平:本題なのですが、私はどうやってクリエイティブワークにAIを取り込んでいくのがいいのでしょうか?

深津:藤平さんは、シンプルに、まだAIを“ちゃんと”使ったことがないんじゃないですかね……食わず嫌いというか、ちょっとだけ触わってわかったつもりになっているのかもしれません。

藤平:たしかに、食わず嫌いはあると思います。あとは、メディアに煽られた影響があるのかもしれませんが、さっき話したように人間vs AIみたいな対立軸が強すぎると思っていて、使っているとやや後ろめたいというか(笑)。

深津:本当は、AIも定規と同じくらいの道具に過ぎないんですけどね。写真(=AI)と絵画(人間のクリエイティブ)みたいな話ですよ。

藤平:vsじゃなくてwithな感じをいち早く取り入れるためのこの連載だと思っています。

深津:実際問題、そうせざるを得なくなると思います。ChatGPT4を人間のリプレースと思うと使いにくい部分があるのかもしれないけど、「チームメンバーが増える」と思うと使いやすいと思いますよ。

藤平:おお、チームメンバーが増える。ワークスタイル変革の真っ只中なので、めちゃくちゃありがたい話です。

深津:たとえば、藤平さんがクリエイティブディレクターだとして、年次の若いリサーチャーとコピーライターを手に入れたと考えてみて下さい。少し抜けていて手がかかるけど、徹夜で仕事するし、頑張って良いものを作ろうっていう気概に溢れているような子たちを。それがAIです。

藤平:24時間いてくれるAIですね。しかも無限にトライアルを続けられる。チームメンバーとしてAIと付き合うというのは、個人的には新しい考え方だなと思いました。すでに世界中で起こっていることなのかもしれませんが。

 これって、今はジュニアのプランナーたちがAIで、それをディレクションするのが僕という立ち位置ですが、この立場が逆転する未来もありますか?

深津:あると思いますよ。

藤平:それはちょっとイヤだなぁ(笑)。どういう仕事の仕方になるんだろう。ちなみに、深津さんは今のChatGPT4がさらに進化した時、いわゆるシンギュラリティ的な、クリエイティブ領域でも人間には敵わないほどAIのアウトプットが良くなるということがあり得ると思っていますか?

深津:あり得ると思います。

藤平:そうしたら、ついにお役御免ということになるわけか。

深津:でも、そちらの方向には、クライアントや社会からの需要はないのではとも思います。

藤平:つまり、AIクリエイティブディレクターには、ニーズがないということですか?

深津:はい、どちらかというと、AIは(リソースの関係で有限だったものの)効率や可能性を100倍にすることを考えていくことになるのではないでしょうか。

藤平:「ディレクション」や「ファシリテーション」というのは、ビジネスにおいては人間の仕事になっていくっていうことですね。

イラストレーターがみんな「新海誠」になる世界

藤平:ちなみに、たとえば、AIの進化によってイラストレーターの仕事がなくなると騒がれていますが、イラストレーターはどうなると思いますか? クリエイティブディレクターと比べて「手に職がある」人たち全般を指しての質問です。

深津:すごく雑な話にしてもいいですか(笑)?

藤平:はい(笑)。

深津:新海誠になるorデッドみたいな感じになるんじゃないでしょうか。みんなイラストレーターの仕事がなくなると言っていますが、仕事がなくなるというよりは、イラストレーターが全員、新海誠になるイメージです。

藤平:「新海誠になる」をもう少し開くとどうなりますか?

深津:企画、脚本、演出がオール自分といった形で、フルで作品を作れるイラストレーターが増えていくだろうと思っています。

藤平:AIと共存して、さらに作家性とか自分のカバー領域を広げていく人とそうでない人に分かれるということですね。イラストレーターがそうということは、コピーライターとかアートディレクターとかCMプランナーもそうなっていく?

深津:今のままではいられないと思います。職業としてなくなるかどうかはともかく。

次のページ
AIとどのように共存していくといいですか?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ためになるAIのお話。連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/10/31 08:30 https://markezine.jp/article/detail/43719

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング