SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングの近未来

「検索」の終焉と「生成」の曙光。いま、マーケティングの生産性が飛翔するとき

「検索」は手段にすぎない

 その日、彼は朝イチでクライアント企業(銀行)に新規で訪問したとのこと。多くの人は、とりあえずGoogleでクライアント企業のことを調べてから訪問するだろう。だが、彼は今、New Bingで調べているらしい。

 以下は、私のiPadで検索した結果である。ためしに、「セブン銀行 強み 弱み」というクエリを投げてみた。別に、ほかの銀行でも構わない。

Googleでの検索結果

 Googleでは、もちろん、適切な検索結果が戻ってくる。そして、この検索結果のリンクをクリックして、該当するウェブページに遷移し、そのページ内の情報を読んで「セブン銀行 強み 弱み」を自分で要点にまとめる。

New Bingでの検索結果

 MicrosoftのNew Bingでは、GPT-4が動作し、様々なウェブサイトから得た情報を基にして「セブン銀行 強み 弱み」の要点をまとめてくれる。検索結果ページのリンクをクリックして次のページ内の情報を自分で読み込むという手間が省ける。どのページをNew Bingが参照したかは「詳細情報」という欄にリンクで表示される。情報ソースまで提示してくれるのだ。

 様々な企業の強みと弱みを調べて比較したが、おそらく、Googleではいくつかのサイトを調べて自分なりに要点を解釈するのに、約10分。マイクロソフトのNew Bingでは、1〜2分で目的を達成する。これは、衝撃だ。生産性革命が現在進行中なのだ。

 検索エンジンが「手段」であり、「目的」が企業の強みと弱みを調べることだとしたら、「どっちが便利だと思う? だから、この半年でGoogleをほとんど使わなくなってしまったんだよ」と彼は言った。

 彼の話しでなるほどと思ったのは、書店で気になる本があったら、「New Bingで調べている。メチャクチャ便利だよ!」というアドバイスだった。たとえば、『ジェネレーティブAIの衝撃』という本が気になったら、「『ジェネレーティブAIの衝撃』という本の要約と評価を教えて」とスマホを取り出して、New Bingに話しかけるらしい。これも、Googleと比較してみよう。

(タップで画像拡大)
Googleでの検索結果(タップで画像拡大)
(タップで画像拡大)
New Bingでの検索結果(タップで画像拡大)

 このキャプチャ画像は私のiPadから撮っているが、スマホアプリでも同様の結果が、もちろん表示される。私は20年以上、Googleを使ってきたし、私の固定観念では「Googleしかない」と思っていた。しかし、本の要約と評価を「検索する」ことしかできないGoogleと、本の要約と評価を「検索して生成する」ことまでやってしまうNew Bingの違いを、マザマザと見せつけられた瞬間だった。

 「ヤバイな、これは。検索の時代が終わったんだな」。素直に実感し、なぜか敗北感も感じた。それは、Googleが一番いいと思っていた自分の固定観念が打ち砕かれた瞬間でもあった。その日から、Googleの利用頻度が極端に減っている。

 「検索する」ことしかできないGoogle。「検索して生成する」ことまでやってしまうNew Bing。そうか。検索は「手段」に過ぎないのだ。「目的」は別のところにあったのだ。そう思い知らされた。

次のページ
異次元のマーケティングジャーニーの始まり

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
マーケティングの近未来連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/10/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/43762

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング